ドッグフードの歴史を簡単に学ぼう

ドッグフードの始まり

現在使用されているドッグフードの原型は、今から150年前にアメリカで作られた犬用ビスケットだといわれています。 米国の機械技師であるジェームス・スプラットが、波止場で廃棄されていたビスケットに野良犬が群がる様子に着目したことから始まりました。 当時欧米では航海の際に食料としてビスケットを船に積んでいましたが、航海が終われば捨てていたのです。 ここで新しく“犬に乾物を与える”という発想が生まれました。 そして彼は1860年にイギリスで、世界初のドッグフード(犬用ビスケット)を事業化しました。 これが、ペットフードが初めて商品として流通した瞬間です。

欧米での歴史

1870年には、米国での事業も始まりました。 しかしその段階では、まだまだ“高級な嗜好品”としての認識が強かったようです。 “犬専用の食事”という考えが、当時はそもそも新しかったためです。 しかし徐々にそれが“嗜好品”から“日常的な餌”として普及していくにつれ市場は拡大し、事業としての成功を収めます。 1907年には犬用のミルクボーンビスケットが、1922年には馬肉が主原料の犬用缶詰が、1927年にはドライドッグフードが誕生していきました。 とはいえ、当時重視されていたのは“コストパフォーマンス”でした。 戦争や世界恐慌を背景に、苛烈なコスト削減の競争が行われていました。 その経緯の中で、人間の食用素材としては適さない廃棄物を犬の餌に混ぜるようになり、粗悪な商品が流通していきました。 その問題が注目されるきっかけとなったのは、1990年に、アメリカの新聞「クロニクル紙」で組まれた特集記事です。 その内容は、『アメリカでは毎年数百万頭の犬猫の死体が、ペットフードの原料として再利用され、その加工の過程で発がん性物質が使用されている』というショッキングなものでした。 この記事の登場により、アメリカではドッグフードの安全性全般が見直されることとなりました。

日本での歴史

欧米においてドッグフードが事業化したのは1860年のことですが、日本に普及したのはなんと100年後の1960年頃でした。 当時はペットフードの販路が日本にはなかったため、主に米穀店で取り扱われていました。 日本においても、発売当初は人々の間では“犬の食べ物は人間の残飯で十分”という考えが当たり前であったため、ブリーダーや一部の飼い主に使用されるまでにとどまっていました。 1975年になると一般に普及し始め、消費者の関心は“いかに犬が喜ぶか”といった“嗜好性”に向けられるようになりました。 それに応じる形で当時の宣伝の謳い文句にも、嗜好性に関する言葉が目立つようになったのです。 1985年ころになると、栄養価についての関心が高まっていきます。 つまり安全面が意識されるようになり、それに伴って犬の健康に気を配る、という意識が愛犬家の間にも広まっていきました。 ちょうどこのころアメリカでは、クロニクル紙がドッグフードの安全面に関して衝撃的な記事を発表し、話題を呼んでいました。 このように、日本におけるドッグフードの歴史は、完全に欧米を後追いする形で紡がれてきたのです。