体調改善のためのドッグフード(胃腸)の特徴

体調改善のためのドッグフード(胃腸)の特徴

愛犬が下痢や嘔吐をすると、そのショッキングな光景も相まって、「何か変な物をあげてしまったのではないか?」と、私たち飼い主は不安になるものです。 人間と比べてワンちゃんたちは、一気食い、空腹時などに食べ物や胃液を吐きやすい動物です。食べ過ぎや拾い食いなどで一時的にこうした症状が起こり、あとはケロリと治ってしまうのであれば心配は少ないでしょう。 しかし消化器官の不調から、慢性的に下痢や嘔吐を繰り返すワンちゃんの場合、栄養の欠乏や体重の減少などといった心配な症状が出る可能性もあります。 このような事態を防ぐためには、ワンちゃんの胃腸に優しいフードを選んであげることが大切です。

胃腸機能の低下によりみられる症状

年齢(子犬やシニア犬)や病気、生まれつきの体質など、胃腸の消化吸収能力が低下する理由はさまざまです。 胃腸がしっかりと機能していないとせっかく食事を摂っても満足に栄養にできず、消化器官にも負担がかかり、以下のような健康上のトラブルにも繋がりかねません。

消化吸収能力の低下によって起こる健康上の問題
  • 軟便や下痢
  • オナラが臭う、回数が多い
  • お腹がゴロゴロと鳴る
  • フードを吐いてしまう
  • げっぷが頻繁に出る
  • 痩せてくる
  • 各種栄養素の欠乏症(詳細はそれぞれの栄養素のページをご確認ください)

もしもこのような症状が、何かしらの病気が原因で起こっているのであれば、その疾患を治療することが最優先です。しかし、体質や年齢などに起因する場合には、フードの見直しを行うことが有効に働くケースもあります。

胃腸が弱い犬向けドッグフードの6つの特徴

ドッグフードは薬ではないため、「胃腸の炎症を治す」、「下痢や嘔吐を止める」というような効果は期待できません。 しかし、フードを上手に選ぶことで、ワンちゃんの消化器官の負担を軽くし、効率よく栄養を吸収できるようにしてあげることは可能です。 胃腸に問題を抱えるワンちゃん向けに作られたドッグフードも販売されており、各メーカーごとに原材料の配合は異なりますが、おおむね以下のような傾向を持ちます。

胃腸の弱い犬向けのドッグフードの特徴
  • 主なタンパク源が肉類や魚類である(穀物類ではない)
  • 素性のハッキリとした油脂が使われている
  • 食物繊維やミネラルがしっかりと配合されている
  • 腸内環境に配慮してオリゴ糖や乳酸菌類が配合されている
  • アレルギーを起こしにくい素材で作られている
  • 少量で多くの栄養素が摂取できる

こうした特徴をほとんど満たしているドッグフードもありますし、この中のいくつかの特徴を持ち、さらにメーカー独自の理論で配合を行っている商品も売られています。 上記の特徴を、ひとつずつ詳しくみていくことにしましょう。

主なタンパク源が肉類や魚類(穀物類ではない)

胃腸が丈夫ではないワンちゃん用のドッグフードは、主なタンパク源として、肉類や魚類が豊富に使用されている傾向があります。

ご存じの通り、ワンちゃんはもともと肉食だったものが、長い歳月をかけて雑食性を獲得した動物です。とはいえ、完全な雑食にはなっておらず、現在でも肉類の消化の方が得意であることに変わりはありません。 個体差はありますが、犬たちの植物性食品に対する消化吸収能力は、私たち人間ほど発達してはいないのです。 そのため、穀物類や豆類などがたっぷりと入ったドッグフードを食べることによって、消化不良から下痢や嘔吐を起こしてしまうワンちゃんも存在します。

穀物類や豆類は、肉類や魚類よりも安価なタンパク源やエネルギー源として利用でき、フードの成形を簡単にするつなぎ役としても優秀です。 ドッグフードに使用される頻度の高い穀物類・豆類には、トウモロコシ(コーン)や小麦、大豆などがあります。 こうした素材もそのまま使われるのではなく、消化吸収性が良くなるように加湿や加熱を施してから利用されていることが一般的ではありますが(炊飯器でお米を炊いて、柔らかく消化しやすいようにするイメージです)、それでも穀類などの消化が苦手なワンちゃんにとっては負担になる可能性があるのです。

いつまでも消化されずに腸内に留まっている穀類などのタンパク質が、悪玉の腸内細菌によって分解されると、アンモニアや硫化水素、アミン、インドール、スカトールなどといった毒性を持つ物質が生成されます。これらは腐敗臭などの悪臭を放ち、臭いオナラが増加したり、便のニオイがきつくなる原因となるのです。

本来は肉食だったワンちゃんたちにとって肉や魚は、穀物類や豆類に比べて消化しやすく、栄養源としても利用しやすい食材です。 どこも悪いところはないのに、愛犬が頻繁に消化不良を起こしてしまう場合には、肉類や魚類を多く含んでいるフードに変えてみましょう。 ドッグフードの原材料欄には、配合量の多い素材から順番に記載されていることが一般的です。 最も多く含まれている素材が肉類(あるいは魚類)のフードを選ぶことが大切です。

またこの時に、肉類の副産物が使われていないかをチェックすることもおすすめします。 副産物とは、家畜から肉を採った後に残る内臓や血液、頭部、脚、ひづめ、羽などの総称です。 これらは人間の食用に用いられることはなく、保存状態が悪いことも多いため、品質の劣化が心配な原材料です。また、飼育過程で投与される成長ホルモン剤や抗生物質などが蓄積されているリスクもあるため(特に内臓など)、ワンちゃんにはなるべく摂取させたくない素材です。

これらは乾燥後に粉砕された「ミール」という状態で配合されていることがあります。 ただし栄養素を凝縮するために、敢えて肉の部分をミールに加工して使用するケースもあるため、「ミール」と書いてあるからといって全てが悪いものというわけではありません。 「当社で使用するミールには、副産物は一切使用しておりません」などというように、パッケージやウェブサイトなどで公開しているメーカーもありますので、こうした情報をよくチェックをしてフードを選ぶようにしましょう。

フードによっては、肉や魚のタンパク質を加水分解して細かくしたものが含まれていることもあります。 タンパク源は体内で分解されることにより、分子の小さなペプチドやアミノ酸になります。本来体内で行われるこの工程をあらかじめ施しておくことにより、ワンちゃんの消化器官の負担を軽減することができるのです。

素性のハッキリとした油脂が使われている

ワンちゃんの胃腸の健康に配慮されているドッグフードには、「オリーブオイル」や「サーモンオイル」、「牛脂」などと、使用されているオイルが何から採れたものなのかがしっかりと表示されていることがほとんどです。 対して、一般的に販売されているドッグフードの中には、「植物性油脂」、「動物性油脂」、「油脂類」といった具合に、パッと見ただけでは何の油なのか分からない表示をしている商品もあります。

曖昧な表示がなされている全ての油脂が悪いものであるとは限りませんが、ドッグフードの中には食品工場やレストランなどから出た廃油(揚げ物などに使用した後の、本来は廃棄処分されるはずの油)が使用されているケースも多いのです。 こうした油は調理中に一度は加熱されているため、酸化や腐敗しやすくなった状態です(すでに酸化、腐敗している場合もあります)。これを少しでも食い止めるために、BHTやBHA、エトキシキンなどといった、強力で毒性も強いといわれる抗酸化物質が使用されていることもあります。

これらの酸化防止剤の詳細は、こちらの記事で解説しています。  →ドッグフードの酸化防止剤(BHA(ブチルヒドロキシアニソール))
 →ドッグフードの酸化防止剤(BHT(ジブチルヒドロキシトルエン))
 →ドッグフードの酸化防止剤(エトキシキン)

もともと酸化していたり、強い作用を持つ添加物を使って保存されている油脂は、当然ワンちゃんの胃腸の刺激になります。 胃腸が弱いワンちゃんの負担を軽減するためには、できるだけこうした素性の分からないオイルを使ったフードは避けるようにすることが大切です。

メーカーによっては、「亜麻仁オイル(ミックストコフェロールで保存)」というように、「何のオイルを何の酸化防止剤で保存しているのか」まで表示してくれている所もあります。 絶対ではありませんが、こうした「詳細な情報までをも公開する」という企業姿勢を持ったメーカーの作ったドッグフードの方が、安全性は高めであると考えてよいでしょう。

食物繊維やミネラルがしっかりと配合されている

便の硬さを調節する食物繊維や、慢性的な下痢や嘔吐によって失われやすいミネラル(カリウムやナトリウム)などがしっかりと配合されていることも、胃腸ケア用ドッグフードの特徴のひとつです。 食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のふたつに分けられます。 水溶性食物繊維には、便を柔らかくして排泄を促す作用や、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。 不溶性食物繊維は、緩い便を適度に固め、腸壁を緩やかに刺激して腸の動きを活発化し、便が腸内に留まる時間を短縮してくれます。 また、どちらの食物繊維も、腸内の毒素や老廃物を排泄しやすくしてくれるため、腸内環境に問題を抱えるワンちゃんにとっては心強い成分です。

また、消化不良によって下痢や嘔吐が続くと、体内の水分とともにカリウムやナトリウムといったミネラルも排出されやすくなります。 カリウムの不足は不整脈や脱水症状の原因となり、子犬の場合には情緒が不安定になることもあると報告されています。 ナトリウム不足は下痢や脱毛、心拍数増加などを引き起こす可能性があります。

食物繊維で腸内環境を改善し、同時に欠乏気味のミネラル類を補えるよう、含有量が多めに設計されているフードは、胃腸が弱く下痢や嘔吐を繰り返してしまうワンちゃんを多方面からケアしてくれるのです。

腸内環境に配慮してオリゴ糖や乳酸菌類が配合されている

私たち人間は、軟便やお腹の張りに悩まされた時に乳酸菌やビフィズス菌などが配合された整腸剤を飲んだり、ヨーグルトなどを食べることがありますが、このような対策はワンちゃんたちにも有効です。 胃腸が弱いワンちゃん用に作られたドッグフードにも、乳酸菌やビフィズス菌、菌類の栄養となるオリゴ糖などが含まれていることがあります。

私たちやワンちゃんの腸内には、多くの種類の善玉菌と悪玉菌、そして日和見菌が生息しています。 それぞれの簡単な働きは以下の通りです。

腸内細菌の分類とそれぞれの特徴
菌の分類 特徴 菌の種類(一例)
善玉菌 腸内を優しく刺激して動きを良くし、食品の消化性や栄養素の吸収率をアップさせます。悪玉菌の増殖を抑えたり、体の免疫力を増強する作用も認められています。 乳酸菌、ビフィズス菌()、酵母菌、麹菌、納豆菌など
悪玉菌 タンパク質をエサにする(分解する)ことによって、アンモニアやインドールなどの毒素を生み出します。これにより、下痢や臭いオナラ、消化吸収力の低下などがもたらされるのです。 病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌など
日和見菌
(ひよりみきん)
普段はおとなしくしており、体に悪さをすることはありません。しかし、免疫力や体力が低下すると活性化し、健康被害を及ぼすことがあります。「日和見」という名前の通り、善玉菌と悪玉菌の優勢な方へと味方をして、同じような働きをすることもあります。まだ研究途上の菌であり、実態は謎に包まれている部分も多くあります。 大腸菌(病原性を持たない種類)、連鎖球菌など

※「乳酸菌」や「ビフィズス菌」は、一種類の菌の名称ではありません。それぞれに数百種類の菌種が存在します。乳酸菌に属する菌類は腸内において乳酸を、ビフィズス菌に属する菌たちは乳酸を酢酸を作り出すという性質があります。

下痢や軟便気味のワンちゃんの腸内では、悪玉菌が優勢になっていることも多くみられます。悪玉菌の数が増えると、日和見菌までもが追随して悪さをするようになり、腸内環境がさらに悪化するという悪循環に陥ってしまうのです。 そこで、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が多く配合されているフードを与えることによって、腸内の細菌バランスを整えてあげることが必要となってきます。

乳酸菌やビフィズス菌の中には熱に弱いものも多いため、高温で加熱して製造するドッグフードに添加しても、死んでしまうリスクがあります。 死んでしまった菌も、腸壁の刺激や免疫活性などの作用が確認されており、摂取すること自体は無駄ではありません。しかしなるべくであれば、菌類を生きた状態でワンちゃんの腸まで届け、本来の力を発揮してもらいたいものです。 そのため、ドッグフードには有胞子性の乳酸菌が利用されていることが多いのです。 有胞子性とは、胞子を形成する性質のことです。 胞子は、菌類や植物が子孫を残すために作り出す生殖細胞を意味します。胞子性乳酸菌は、ぶ厚い膜のようなもので表面を覆われているため、加熱や酸、乾燥などにも強いことが特徴です。 すなわち有胞子性乳酸菌は、加熱や乾燥させることによって製造されるドライフードに配合しても死なずに、犬の体内へと入った後も胃酸に負けることなく腸まで到達することができるのです。 胞子性乳酸菌は、ワンちゃんの体温や胃酸など、さまざまなものの刺激を受けて腸内で目覚めます。こうして初めて乳酸菌としての働きができるようになるのです。

また、高温での加熱が不要な犬用おやつ(ミルクやヨーグルト、ふりかけ、歯磨きガムなど)やサプリメントなどには、胞子を形成しないビフィズス菌や乳酸菌がそのまま配合されていることもあります。 さらには、善玉菌や善玉菌のエサが配合されたリキッドなども販売されています。使い方も、いつも与えている食事や飲み水に垂らす(または吹き付ける)だけで良いため、日常的に気軽に使用できるという利点があります。 胞子に守られていない菌類は胃酸に弱いため、食べ物や水分で胃酸が薄まっている食後に摂取させることによって、生きたまま腸内に届く数が増えるといわれています。

腸内細菌は、種類によって好む環境、生きやすい環境が異なります。 そのため、人間や犬、猫、ウサギ、馬、牛、鳥など、動物によって腸内細菌のバリエーションやバランスはさまざまです。 さらに同じ犬同士であっても、どのような場所に住んでいるか(大都会か、自然が多いかなど)や、他の動物と同居しているか、散歩に行く頻度、年齢などの要因によっても違いが出ることが分かってきました。 しかし2017年12月現在において、犬の腸内細菌については(腸内における種類や数、それぞれのバランス、健康に与える詳細な影響など)まだまだ研究途上であり、詳しくは解明されていないのが現状です。 そのため各メーカーも、色々な研究やデータを通じて、ワンちゃんの健康に有益であると考えらえる善玉菌を独自にフードに配合しています。

アレルギーを起こしにくい素材で作られている

ワンちゃんの食品アレルギーの症状といえば、皮膚や目の痒み、赤み、粘膜の腫れなどがイメージされがちですが、軟便や下痢、嘔吐が起こる場合もあります。 このようなケースに対応するために、胃腸ケア用のドッグフードには、ワンちゃんのアレルゲン(アレルギーを誘発する原因となる成分)となりにくい原材料が使われていることもあるのです。 具体的には、アレルギーの原因となりやすい小麦やトウモロコシではなく白米や玄米を使用したり、鶏肉の代わりに鹿肉やラム肉、ターキー肉(七面鳥肉)、魚肉など、ワンちゃんが比較的接する機会の少ないタンパク源を用いた製造が行われています。

しかしワンちゃんによっては、鶏肉とターキー肉(七面鳥肉)、サーモンとタラなど、別種の食材であっても免疫システムが同種と勘違いをしてアレルギー症状を起こしてしまうケースが存在します(これを交差反応と呼びます)。 また、交差反応は起こさなくても、さまざまな食品に対してアレルギーを持っているワンちゃんもいます。 このような子たちの場合には、動物病院での検査(血液検査や除去食試験など)を通じて、アレルギーを引き起こす食材と食べても大丈夫な食材をハッキリさせ、危険な食材は徹底的に遠ざけてあげることが必要となることもあります。 基礎疾患がないにもかかわらず、フードを何度変えても消化器症状が治まらないといった場合には、食品アレルギーの可能性も考え、一度獣医さんに相談されることをおすすめします。

食品アレルギーの除去食試験や交差反応などについては、こちらの記事で詳しく解説しています。→体調改善のためのドッグフード(アレルギー)の特徴

少量で多くの栄養素が摂取できる

胃腸の調子が悪いワンちゃんは、どうしても食が細くなりがちです。 そのため、ドッグフードには、ひと粒ひと粒に栄養素がぎゅっと凝縮されていることが求められます。 少しの量を食べるだけで1日に必要な栄養素やエネルギーを補うことができれば、無理やり多くのフードを与えて愛犬の消化器官を余分に働かせなくても済み、負担を減らすことができます。

また、いくら質の良いフードであっても、ワンちゃんが食べてくれなくては栄養にはなりません。そのため、嗜好性が高いことも重要なポイントです。 この嗜好性向上のために、多くのドッグフードには、製造の最終工程において粒の表面にオイルを吹き付けることが行われています。フードを手で持った時にベタ付きを感じた経験をお持ちの飼い主さんは多いことと思いますが、その正体がこのオイルコーティングです。 前述の通り、このオイルが酸化や変質していた場合には、ワンちゃんの胃や腸にも悪影響を与えます。 そのため、胃腸が弱っているワンちゃんに与えるフードには、オイルコーティングが施されていないものを選んであげましょう。 オイルコーティングをしないフードを作る際には、できる限り新鮮な食材を使う、通常よりも低温で調理するなど(これにより素材本来の風味が壊れにくくなります)、各メーカーも工夫を凝らして嗜好性を高める努力をしています。 フードパッケージに「ノンオイルコーティング」や「オイルコーティングはしておりません」と表示されていることもありますし、嗜好性を高める方法が具体的に書いてあることもありますので、確認してみてください。

まとめ
ごはんの消化や吸収は、ワンちゃんが生きていく上で最も基本であり大切な能力です。 さまざまな理由から愛犬の胃腸機能が低下してしまっている場合には、フード選びを慎重に行い、消化器官に負担をかけずに栄養の吸収率を上げてあげることが大切です。 今回ご紹介したような胃腸のケア用ではない普通のドッグフードにも、消化性を高める工夫がなされているものも販売されています。それらも選択肢に加え、愛犬に最も適しているフードを選んであげるようにしたいですね。
注意

※この記事の内容は、様々な「胃腸ケア用ドッグフード」の銘柄の特徴をまとめたものです。
商品によって特徴は多少異なりますので、すべての皮膚病用フードに上記の特徴が当てはまるわけではありません。