ドッグフードの原産国(フランス)

ドッグフードの原産国(フランス)

日本に暮らす愛犬家にとって、フランスは非常に羨ましく感じられる国なのではないでしょうか。 フランスでは、さまざまな場所に愛犬と出かけることができ、ペットの飼育が認められない住宅もほとんどありません。 人間の生活の中に当たり前のようにワンちゃんが溶け込んでいるフランスでは、どのようなドッグフードが製造されているのか、ご紹介していきたいと思います。

フランスでは犬と一緒にカフェや旅行は当たり前   

フランスは、2軒に1軒は何かしらのペットを飼育しているほどのペット大国です。 最も人気を集めているのは魚で、フランス国内のペットの半分以上を占めています。 魚の次は猫が多く飼われており、3番目に犬が続きます。 小型犬が好まれる日本とは対照的に、フランスではジャーマン・シェパードやゴールデン・レトリーバーといった大型犬が人気です。

体の大きなワンちゃんたちが、街のいたる所で飼い主さんと一緒に歩き、くつろぐ姿がフランスの日常風景です。 フランスでは、レストランやカフェはもちろんのこと、ホテルなどの宿泊施設であっても、「犬の入店お断り」といった場所はほとんどありません。 各ホテルがワンちゃんの宿泊OKとしている背景には、フランスのバカンス(休暇)は長く(最長で1ヶ月程度)、その間に愛犬と長期的な旅行に出かける人が多いことも関係しているようです(※1)。 日本では考えられないほど、フランスはワンちゃんと一緒に行動することが当たり前の社会なのです。愛犬家にとって、非常に暮らしやすい国といえるのではないでしょうか。

※1 フランスでは、愛犬と一緒に旅行をする人も多いですが、反対に、犬を持て余して捨ててしまう人もいます。長期旅行の際にワンちゃんの預け先を探すことや、預ける際にかかる費用などに困り、毎年バカンス前になると捨て犬が急激に増加することが社会問題となっているのです。

アパルトマンが立ち並ぶフランスの街並みです。フランスではほとんどの賃貸住宅でペットの飼育が可能であり、多くの人たちが動物とともに生活しています。

フランスは一軒家の所有率が低く、多くの人はアパルトマン(アパートやマンションなどの集合住宅)に暮らしています。 これは、フランスの離婚率の高さが要因とされ、いざという時(離婚時)の所有権などの争いを避けるためといわれています。 それはともかくとして、フランスの賃貸住宅でも、ペットの飼育が不可なところはほとんどありません。 持ち家に暮らそうが、賃貸に暮らそうが、ペットを飼育することが国民の「権利」として法的に認められているのです。 そのため、正当な理由なく動物の飼育を禁止する契約は無効とされています。 もちろん、家を借りる側はしっかりと自分のペットを管理しなければなりません。 無駄吠えがひどい、人に危害を加える、糞尿などの悪臭をまき散らすなど、他の住人の迷惑となる場合には、立ち退きを迫られても文句は言えません。

またフランスでは、2002年より、犬と猫へのマイクロチップの装着と身元の登録が義務付けられています。 ペットの身元をハッキリとさせるため、獣医さんの手によりワンちゃんや猫ちゃんの皮膚下(主に肩甲骨付近)に、極小のICタグ(マイクロチップ)を注射器のような器具で挿入します。 このチップから固有の番号を読み取ることによって、その動物が誰に飼われているかが分かるのです。 これはペットが脱走や迷子になってしまった時に有効なだけでなく、捨て犬や捨て猫の増加を食い止めるための対策としても機能しています。

ドッグフードにもこだわりを持つフランス

愛犬のためにも美食を求める

有名なフランス料理、鮭のテリーヌです。こちらは人間用のものですが、フランスでは、ワンちゃん向けに作られたテリーヌやパテも販売されています。

カフェでお茶をする時も一緒、旅行に行く時も一緒と、愛犬と共に行動することが多いフランス人にとって、ワンちゃんは家族同然の存在です。 フランスといえば「美食の国」として有名であり、全国民へ向けた食育活動である「味覚の一週間」(※2)が毎年開催されているほど、食への関心が高い国です。 「自分たちが食べているような美味しい食事を、家族である愛犬にも食べさせたい」と考えるフランス人も多く、素材や味、形状にこだわったフランス産のドッグフードが多く作られています。 中にはワンちゃん用のテリーヌ(※3)やパテ(※4)も販売されており、人間用の食品と見間違うほどです。

※2 味覚の一週間・・・毎年、10月の第3週目の7日間を通して行われる、フランスの食育活動のことです。味覚だけでなく、嗅覚や視覚など、五感をフルに使って食べ物を味わう楽しさや、食べ物の生産についての勉強、一流店のメニューに触れることによる新たな味の発見、食材の変化を観察しながらの調理実習などを通して、食の楽しさ、自国の食文化の大切さなどを学びます。子どもたちに向けて行われたのが始まりですが、現在では全ての国民に向けて、フランス各地でさまざまな食に関する催しが開かれています。

※3 テリーヌ・・・すり潰したり切り刻んだ肉や魚、野菜などを、「テリーヌ」と呼ばれる陶器に入れて加熱したフランス料理です。

※4 パテ・・・フランス料理の一種で、肉類やレバーをミンチにし、パイ生地で包んでオーブンなどで焼いたものを指します。パイ生地には、うま味を逃がさないようにする役割があります。

フランスで人気のBio(ビオ)フード

厳しい基準をクリアしたものだけがBio認定される

フランス人のドッグフードへのこだわりはこれだけではありません。 Bio(ビオ)と呼ばれる、有機農法で作られた野菜や果物、安全性に留意しながら生産された肉などを使用したドッグフードも人気を集めているのです。 Bioは「人の手が介入しない、ありのまま」であることを基本理念としています。 日本でいうところのオーガニックと同じような意味合いを持ち、「有機農産物」、「有機加工食品」を意味します。

フランスでは、このBioの基準の策定や認定に、国が関与しています。 1981年、フランスの政府によって、有機農法による作物栽培などのガイドラインが作られました。 そして1985年から、厳しい検査により、このガイドラインに適合していると認められた商品には、「ABラベル」と呼ばれるマークが付けられるようになったのです。 「AB」は「Agriculture Biologique」の略であり、「有機農業」と訳されます。 さらに2010年以降は、EU加盟国で共通して用いられる「Bio製品を示すマーク」も表示することが義務付けられました。 どちらのマークも、緑色を基調とし、葉っぱのデザインが施されています。 人用・犬用の食品だけでなく、洗剤や化粧品、布製品から、ワンちゃん用のシャンプーやコンディショナー、グルーミングスプレーなどといった日用品にも、Bio認証を受けたものが存在します。

このBioに認定されるには、非常に厳格な基準を満たす必要があります。 まず、野菜や果物であれば、過去3年間以上、農薬や化学肥料を使わずに、有機農法を実施している土地で作られた作物でなければなりません。遺伝子組み換えはもちろん禁止です。 肉類や乳製品においては、どのようなエサを家畜に与えていたかがチェックされるのはもちろんのこと、飼育スペースにも規定があります。家畜を一定以上の面積の場所で育てていない場合にはBio食品として認められません。 当然、加工食品における着色料や香料、保存料などの使用も厳禁です。

Bio食品に対して、フランスの人々も大きな関心を寄せています。 フランス人を対象に行われた調査によると、Bio食品を食べた経験がある人は全体の9割以上にのぼり、およそ4割の人たちは1ヶ月に1回以上はBio食品を購入していると答えています。

Bio食品のメリット

安全性にこだわって作られた、健康的なBio食品のメリットを具体的に少しだけご紹介します。

栄養価が高い

Bioの農作物には、ポリフェノールやビタミン類が、農薬を使用して栽培されたものよりも多く含まれていることが分かっています。 ポリフェノールは、体内を酸化させてさまざまな病気を誘発することが懸念されている活性酸素を除去・無害化する抗酸化作用を持つ物質です。大豆のイソフラボン、緑茶のカテキン、ショウガのショウガオール、ブルーベリーのアントシアニン、チョコレートのカカオポリフェノールなど、自然界にはさまざまな種類のポリフェノールが存在します。

ご存知の通り農薬は、作物を病気や害虫などから守るために散布される薬品です。 ポリフェノールはもともと、紫外線による害や、虫、微生物、動物たちなどの食害から、植物が自分の身を守るために生成する成分です(アントシアニンなどの濃い色をしたポリフェノールには、昆虫からの視認性・誘因性を高め、花粉の媒介などを効率良く行うといった働きもあるといわれています)。 農薬による保護がない環境では、作物は自らのポリフェノールを使って身を守るしか術がありません。そのため、ポリフェノールを大量に作り出すようになるのです。

残留農薬の心配がない

ドッグフードに使用される野菜や果物の残留農薬は、ワンちゃんの免疫系統に影響を与え、アレルギーなどを誘発することが指摘されています。 アレルギーは体を異物から守るための免疫が、本来害のない物質を有害だと認識して攻撃してしまう疾患です。 免疫系統の過剰な働きによって引き起こされるというイメージから、アレルギーは一見、免疫力が強い(強すぎる)ために起こる疾患であるようにも思えます。 しかし実際にはその真逆であり、免疫機能の弱体化にともなって、免疫システムが正常に機能しなくなっているだけなのです。 Bio認証を受けた農作物は、農薬や化学肥料を使用しない環境で作られているため、当然残留農薬の心配はありません。 また、有機農法で作られた作物は全体的に水分が少ない傾向があり、その分味が濃く美味しいともいわれています。

品質の劣化が起こりにくい 

Bio認定される植物油は、品質の劣化が少ないというメリットがあります。 一般的な油の抽出方法は、ヘキサンなどの有機溶媒を用いて油分を溶かし、抽出します。この方法は、時間をかけずに植物から無駄なく油を抽出できるため、多くの業者が行っています。 しかし、ベンジンの主成分としても知られるヘキサンは、毒性を持つ物質です。 抽出した油にはヘキサンが混じっており、そのまま料理に使うことはできません。そのため、油を高温で加熱することによりヘキサンを蒸発させる作業が行われるのです。

油は熱に弱いため、この加熱によって酸化や変質が起こります。 酸化した油は「過酸化脂質」と呼ばれ、体内の細胞を錆び付かせ、ガンや心臓病、アレルギーなど、さまざまな疾患の原因となることが指摘されています。 また、加熱時にはトランス脂肪酸が生成され、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させる原因となります。 LDLコレステロールが増加すると、脂質異常症(高脂血症)から動脈硬化などが誘発されるリスクが上昇します。 人間に比べてワンちゃんは、もともとHDLコレステロール(善玉コレステロール)の値が高く、脂質異常症を発症しにくい動物です。 しかし、中には血液がドロドロになってしまうワンちゃんも確認されていますし、動脈硬化を発症しやすい犬種(※5)も存在します。

※5 シーズー、ドーベルマン・ピンシャー、シェットランド・シープドッグ、ミニチュア・シュナウザー、ロットワイラーなどは、遺伝的な体質によって、脂質異常症から動脈硬化を発症しやすい犬種であるといわれています。

脂質異常症を起こしやすいとされるロットワイラーです。日本ではあまりメジャーではありませんが、欧米では人気の大型犬です。原産国はドイツ、力が強く、警察犬や山岳救助犬とし て活躍している子もいます。性格は穏やかで、家族を守ろうとする強い防衛本能を持ちます。

Bio認証された油は、植物に圧力をかけ、油を搾り出す方法で作られています。 有機溶媒を使用しないため、高温加熱の工程も必要ありません。 しかも、低温圧搾法と呼ばれる「加熱をせずに油を抽出する方法」が取られることが一般的であるため、油の酸化が起こりにくいのです。

Bio認証の食品のデメリットを上げるとすれば、若干お値段が張ることでしょうか。 Bioラベルの商品は、通常の10%から15%程度高い価格で売られていることが一般的です。  Bio食品の検査には費用が必要です。また、有機栽培を行うには人件費や手間がかかり、大量生産もできないことから、製造コスト分が上乗せされることは致し方ないでしょう。

日本におけるフランス産ドッグフードの輸入量は第5位

日本におけるペットフードの輸入量第1位はアメリカであり、その後にオーストラリア、タイ(※6)と続きます。 この3ヶ国で9割以上のシェアを持ち、残りの1割の中に中国やフランスが入ります(フランスの輸入量は中国に次ぐ第5位です)。 日本で販売されているフランス産のドッグフードの種類は、アメリカ産などに比べると少ないものの、素材や栄養素、安全性にこだわったプレミアムドッグフードや、各疾患用の療法食なども販売されています。 中にはもちろん、Bioの認証を受けた素材が使われているフードもあります。 ワンちゃんを家族のように扱うお国柄のフランスらしく、全体的に、犬のことをしっかりと考えて作られたドッグフードが多い印象です。

※6 タイを原産国とするペットフードの多くは、魚を使用した猫ちゃん用のフードです。タイ産の魚の缶詰は、ペットフードだけでなく、人間用の商品も多く販売されています。

まとめ

フランスは日本よりもはるかにワンちゃんと人間との共生が進んでいる国です。加えて、自国の食文化への誇りや、食の安全性への高い関心も持っています。 そのため、ドッグフードへの意識も高く、良質なフードがたくさん作られています。 しかし、ドッグフードは種類やメーカーによって、使われている食材も添加物もさまざまです。 中には粗悪な素材や、愛犬にはあまり摂取させたくない添加物などが含まれている可能性もあるでしょう。 フランス産の原材料を使っていても、全てが良質であるとは限りません。「原産国:フランス」と書いてあっても、原材料は別の国のものを使用しているケースもあります。 また、「質の良いドッグフード」と、「愛犬の体質に合ったドッグフード」は必ずしもイコールではありません。 フードに対する嗜好性は犬によって異なりますし、使用されている素材がワンちゃんの体に合わない場合もあります。 お友達の家のワンちゃんにとってはピッタリなフードが、自分の愛犬に軟便や涙やけなどを引き起こす可能性もゼロではないのです。 原産国のイメージの良さに安心することなく、原材料欄やメーカーのwebサイトなどで情報をしっかりとチェックし、愛犬の食い付きや体調を確認しながら、その子に適したフードを選んであげましょう。