犬種別ドッグフードは本当に必要?

犬種別ドッグフードは本当に必要?

ペットショップやホームセンターへ行くと、多種多様なドッグフードを目にすることができます。 値段や形も様々で、どれを購入すればよいのか迷ってしまう飼い主さんもいるかもしれません。

中でも目に留まるのが、「犬種別ドッグフード」です。

チワワ用、トイブードル用、柴犬用など、ありとあらゆる犬種に合ったドッグフードが売られています。 ひとくちに犬といっても様々で、大きさだけを比較しても、超小型犬と大型犬とでは全く違います。 当然身体のつくりも少しずつ異なってきますので、それぞれの犬種に合わせて作られたドッグフードというのは、それだけで信頼できる製品のように感じるかもしれません。

しかし、結論からいえば、ドッグフード選びにおいて「犬種別」にとらわれる必要は全くありません。

チワワには必ずチワワ用のものを与えなければならない、ということは決してないのです。 むしろ、犬種別であることに安心しきってしまい、原材料表示を見ずに購入してしまえばそれは本末転倒です。 犬種専用であるか否かは別として、まず大切なのは「安全な原材料が使用されているか、わんちゃんの身体に合っているかどうか」ということです。

たとえば、アレルギーなどの理由で小麦が苦手なトイプードルがいたとします。 にもかかわらず、小麦の含まれたドッグフードを「トイプードル専用だから、大丈夫だろう」とろくに材料の確認もせずに与えてしまえば、それは逆効果となってしまいます。

「犬種別」という分類は、多くのドッグフードが売られる昨今においては、非常に分かりやすい指標となります。 しかし、それらを過信しすぎてはいけません。 あくまでも参考程度にとどめておいて、きちんとしたドッグフード選びをしましょう。

犬種別ドッグフードの特徴

一見わんちゃんの身体によさそうな「犬種別ドッグフード」ですが、中には「犬種別ドッグフードはほとんど意味がなく、メーカーによる販売戦略である」とまでいう意見も耳にします。 それでは実際のところは、どうなのでしょうか。

まず、「犬種別ドッグフードがどのようなものであるか」を知る必要があります。 犬種別ドッグフードは、文字通り「該当犬種に合わせて作られたドッグフード」のことですが、たとえばトイプードル用と柴犬用を比較しても、原材料や栄養自体に大きな違いはありません。 内容が大きく異なるというよりは、[ベースとなる原材料+犬種に合わせた栄養の添加]というパターンが多いようです。 例えば、関節の弱い犬種には関節サポートのできる成分を、毛並みの美しい犬種には毛づやを維持する成分が含まれている、などです。 日頃の食事でこのような成分が含まれているのは助かりますが、これらはサプリメントや食事以外の日常生活(運動やブラッシングなど)で対応できるものでもあります。 各犬種に必要な栄養を、というよりは、犬種ごとにかかりやすい病気を予防するといった意味合いが強いようです。

犬種別ドッグフードの重要性は、他の「○○別用ドッグフード」と比較してみるとわかりやすいと思います。 用途別のドッグフードとして、子犬用や老犬用、妊娠期用などの「年齢別ドッグフード」が挙げられますが、これらは栄養価が大きく異なります。 子犬(成長期)や妊娠中(または授乳中)の母犬は、通常の成犬の二倍のカロリーが必要になるため、対応するフードもカロリーがかなり高めに設定されています。 反対にシニア用のドッグフードは、落ちていく運動量や代謝に合わせてカロリーは控えめに、しかしタンパク質は高めに作られています。 全年齢対応のドッグフードを量で調節することも可能ですが、年齢別のドッグフードにはそれぞれ大きな違いや役割があります。

こういったものと比較すると、「犬種別ドッグフード」は、「絶対に必要」というよりは、「あれば便利」程度の位置付けであることがわかると思います。

「犬種別」は販売戦略?

ここからは私見ですが、「犬種別」という分類の仕方は、販売戦略としての性格もあると感じます。 様々なドッグフードを見る限り、「犬種別で食事を分ける」という必要性をあまり感じなかったためです。 というのも、安全なヒューマングレードの材料を使用し、余計な添加物を使用しないようなドッグフードは、「全犬種・全年齢対応」の商品が多いのです。 ペットフード先進国であるヨーロッパやアメリカ産のドッグフードで、「犬種別」というものはあまり見かけません。 しかし「犬種別」という特別感を演出することで、消費者の購買意欲が増すのも事実だと思います。 ドッグフードにあまり詳しくない状態でそれらを選ぶとき、「犬種に合った」という指標は非常に簡潔で分かりやすいものだからです。

もちろん、犬種別ドッグフードが本当に犬のためを思って作られているならばよいですが、原材料表示に目を通すと、必ずしもそうではないことが分かります。 『家禽類(チキン等)、トウモロコシ粉』のように粗悪な原材料と思われるものを使用していたり、『穀類(米など)、チキン』のように、穀物が原材料表示の先頭にきてしまっているものが目立ちます。 犬種云々以前に、犬が最も必要としているのは良質な動物性タンパク質です。  材料の質をごまかすために、こういった分類をしているのではないかと勘ぐってしまうようなものもあります。

「犬種別ドッグフードが必要かどうか」ということは、「人種によって食事を替えることは必要かどうか」という問題に置き換えてみれば、わかりやすいと思います。 当然人種によって身体のつくりは多少異なりますが、かといって必要な栄養そのものに大きな違いはありません。 添加物だらけの食品や廃棄寸前のものばかり食べていれば身体を壊してしまいますし、たとえそのような食品が「日本人専用」と分類されたところで気休めにしかなりません。 それならば、「全人種対応」の質の良い食事をとった方がよほど健康的です。 ドッグフードも同じことで、粗悪な犬種別フードを与えるくらいならば、良質な全犬種対応のドッグフードを与えたほうがよいということです。

まとめ
ここまで悪い面ばかり書いてしまいましたが、「犬種別ドッグフード」は決して悪いものではありません。 原材料表示や成分表を吟味したうえで愛犬に合っていると判断されたのであれば、購入してもよいでしょうし、飼い主さんの強い味方になってくれるでしょう。

しかしまず注目すべきは、「安全な原材料が使われているかどうか」と「犬の身体に適切なフードかどうか」ということです。 犬種別に選ぶのは、最初にそれを吟味したうえで行いましょう。