ドッグフードで口臭が変わったら

ドッグフードで口臭が変わったら

犬が人間の口を舐める行為は、一般的に飼い主さんに対する親愛の情を表しているといわれています。 愛犬にペロペロと舐められても悪い気はしない、むしろ嬉しいと感じる飼い主さんは多いと思います。 しかし舐められたときに強い匂いがして、思わす顔を背けてしまった、ということもあるのではないでしょうか。 かわいい愛犬のものなら気にならない…と思いつつも、やっぱり気になってしまうのが「口臭」です。

口臭の原因の多くは、普段与えているドッグフードにあります。 ドッグフードを替えてから口臭がひどくなった、ということであれば尚更その可能性は高いです。

考えられる原因

ドッグフードが口臭の原因となる場合、臭いの発生源は二通り考えられます。 まずひとつは読んで字のごとく、「口内」から臭っているケース。 そしてもうひとつは、腸内環境の悪化によって発生した有毒物質が悪臭となり、呼気を通して臭っているケースです。

発生源の違いによって、原因や対処法も変わってきます。 わんちゃんの口臭が気になる飼い主さんは、まずは原因の特定を急ぐようにしましょう。

ドッグフードが口内環境を悪くしている場合

口臭の直接的な要因としてまず考えられるのは、「口内環境の悪化」です。 普段与えているドッグフードが口内環境を悪化させ、悪臭を引き起こしているかもしれません。

ウェットフードを与えている

ドッグフードといえばカリカリのドライフードが一般的ですが、中には缶詰やパウチタイプのウェットフードを与えている、という飼い主さんもいるでしょう。 嗜好性が高く、食べやすいウェットフードは好んで食べるわんちゃんも多いようです。 しかし、ウェットフードは水分量が多く柔らかいため、ドライタイプのものと比べて歯につきやすく、口臭の原因になりやすいといわれています。 ウェットタイプのドッグフードを与えている場合は、食後の歯磨きを定期的に行うようにしましょう。

※ウェットフードがドライフードと比べて歯のトラブルを起こしやすいか否かは、意見が分かれているところでもあります。しかし、「ウェットフードが歯につきやすい」ことは一般的な見解として広く知られています。

口内で油が酸化している

ドッグフードに含まれる脂肪分が酸化し、悪臭の原因になっているケースもあります。 中でも動物性油脂は酸化しやすく、わんちゃんの口内に残った油が酸化して臭いの発生源となることがあるのです。

歯周病にかかっている

ワンちゃんの口臭が気になる場合は、歯周病に罹っている可能性があります。 たとえ品質のよいフードを与えていたとしても、歯磨きを怠ると発生してしまうので注意が必要です。 歯周病とは、歯肉を含めた歯周組織が破壊される病気です。 症状としては口臭だけでなく、口内の出血や化膿などが見られ、進行すると食べ物を口に含むのを嫌がるようになります。

一般的に高齢なワンちゃんが罹ることが多いですが、近年(2018年)では若い犬にもよく見られるようになりました。 また、小型犬は中・大型犬と比べて歯周病になりやすいので、日頃のデンタルケアはしっかりとおこないましょう。 歯周病は、ワンちゃんにとって最も一般的な生活習慣病です。 3歳以上の犬猫のおよそ8割が歯周病(予備軍)であるといわれています。 ワンちゃんの口臭が気になり始めたら、まずは歯周病を疑ってみてもよいかもしれません。

ドッグフードが腸内環境を悪くしている場合

腸内環境が悪くなり、その臭いが口から出ることで口臭となっているケースもあります。 多くの場合は、消化不良を起こしています。 穀物メインのドッグフードや、添加物が大量に使用されたフードはとくに消化不良を起こしやすいです。 また、食べすぎも腸内環境の悪化につながります。 口臭が気になり始めたら、ドッグフードがわんちゃんに合っているか、給餌量はきちんと守れているかどうかを一度確認しておきましょう。 便秘や下痢を併発していたら、腸内環境が悪くなっている証拠です。

病気のサインの可能性も

口臭の原因はフードの影響または歯磨き不足によるものが多いですが、まれに皮膚がんなどの病気の症状として口臭が表れることがあります。 ドッグフードに問題がないのに口臭が気になり始めたら、病気によるものである可能性も考慮しておきましょう。

口臭が症状として表れる病気として考えられるものは、主に以下の3つです。

口内炎

口内の炎症のうち、歯と歯茎以外の軟部組織に起こるものを口内炎といいます。

口の中が赤くなって腫れたりただれたりして、その影響でよだれの量が多くなり、口臭がきつくなってしまいます。

尿毒症

腎臓機能の低下により、体内の毒素や老廃物を尿として外に排出できない状態を指します。

尿毒症になると、口からアンモニア臭がすることがあります。 この状態になると、腎臓の細胞はほとんど死んでしまっていますので、余命数ヶ月の「末期症状」と呼ばれています。 重篤な事態ですので、それらしい症状が見られたらすぐに獣医さんに診てもらうようにしましょう。

口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)

色素(メラニン)を作る細胞ががん化する病気で、皮膚がんの一種です。

腫瘍ができるのと同時に口臭が悪化し、よだれの量が増えます。 進行スピードの速い病気ですので、少しでもおかしいと感じたら、病院へ連れて行くことが大切です。

上記の病気以外にも、他の病気と併発するかたちで口臭がきつくなることがあります。 病気の場合は、ドッグフードによる改善では対応しきれませんので、きちんと獣医さんの診察を受けることが必要になります。

原因の特定方法

口臭の発生源は主に口内と腸の二つですが、この発生源の違いはどのように見分ければよいでしょうか。 それは実際に、歯の臭いを嗅いでみることです。 とはいえ直接嗅ぐのは難しいので、ガーゼなどを使ってワンちゃんの歯を拭ってみます。 歯を拭ったところから強い臭いがすれば、原因は歯にありますので歯磨きを徹底しましょう。 臭いがあまりしなければ、腸内で消化不良を起こしている可能性があります。

腸内環境の悪化による口臭は、一朝一夕では改善されません。 品質がよく、消化しやすいドッグフードを与えていれば少しずつ、しかし確実に改善されていくでしょう。

対処方法

しかるべき対処方法をとれば、口臭は確実に改善することができます。 原因の特定が完了したら、それぞれの症状に合った治療をしていきましょう。

ドッグフード選びで改善する

腸内環境の悪化によって口臭が引き起こされている場合は、ドッグフードの消化不良が原因であることが多いです。 そのため、ドッグフードを切り替えてあげることで、症状を改善することが可能です。

ドライフードに切り替える

ウェットフードは歯につきやすく、口臭の原因になりやすいといわれています。 ドライフードはそれなりの硬さがありますので、噛むと同時に歯垢をそぎ落とす歯ブラシのような役目も果たします。(硬さや大きさによっては効果のないものもあります。) ウェットフードを食べさせるようになってから口臭が気になり始めた…という場合は、そのフードが原因かもしれません。 ドライタイプのものに切り替えるか、食後の歯磨きを徹底するなどして対応しましょう。

粗悪な油が使用されていないものを選ぶ

酸化しやすい油の含まれたドッグフードを与えていると、歯に残った油がわんちゃんの口内で酸化してしまい、口臭の原因になります。 粗悪な油は特に酸化しやすいため、「動物性油脂」などの表記が原材料表示にあるドッグフードは避けるようにしましょう。

添加物の含まれていないものを選ぶ

人工添加物は、ものによっては腸内のバランスを狂わせ、消化不良を引き起こすものがあります。 少量の添加物であれば問題ないことが多いですが、その量や種類が多くなると、思わぬトラブルを引き起こすリスクが高くなります。 そのため添加物が大量に含まれているような安価なドッグフードは、できるだけ購入を控えるようにしましょう。 口臭以外にも、皮膚トラブルや内臓疾患などを誘発する可能性があります。

グレインフリーのドッグフードを選ぶ

犬の身体は穀物の消化があまり得意ではありませんので、穀物メインのドッグフードを与えていると、消化不良を起こしてしまうことがあります。 消化不良は口臭の原因にもなります。 口臭が気になる場合は、ドッグフードの原材料表示を確認してみてください。 原材料一覧の先頭に穀物がきていたら、それは穀物メインのドッグフードです。 その場合は、ドッグフードによる消化不良が原因で口臭が発生している可能性があります。 グレインフリー(穀物不使用)のドッグフードに切り替えてあげることをおすすめします。 グレインフリーとまではいかなくとも、肉が主原料のものに変更するだけで効果はあると思います。

歯磨きで改善する

腸内環境の悪化が口臭の原因ではない場合、最も効果的なのが「歯磨き」です。 歯の汚れによって口臭が引き起こされているのであれば、歯磨きに勝る対処法はありません。 犬は虫歯にはなりにくいですが、歯周病にはかかりやすい動物です。 これを予防するためには、こまめなデンタルケアが必要になります。

歯磨き粉などは使用せずに、濡らした布やガーゼで歯を拭いてあげましょう。 これだけで十分効果が期待できます。 毎日とまでいかずとも、週に一回程度は行うことをおすすめします。

しかし、歯に付いた食べかすが歯石に変化してしまうと、歯磨きで取り除くことは不可能です。 歯の汚れがあまりにひどい場合は、病院で取ってもらうようにしましょう。