タイ産ドッグフードの安全性と選び方とは?

タイ産のドッグフード

ドッグフードの主な原産国のひとつに、タイが挙げられます。
パッケージ袋に「タイ産」「原産国:タイ」という文字が書かれているのを目にする機会は多いのではないでしょうか。

平成19年に環境省・農林水産省より発表されたデータによると、日本で流通するペットフードの55%は輸入品であり、そのうちアメリカは34%、オーストラリアは33%のシェアを占めています。
タイはそれに次ぐ21%と、順位としては三番目にあたります。
平成25年度における一般社団法人ペットフード協会の調査では、ペットフード全体における輸入量はタイが34.9%と、アメリカやオーストラリアを抑えて第一位に躍り出ています。
その割合は増加傾向にあり、今後も増えていくことが予想されます。

また、たとえ日本のメーカーでも、原材料調達や加工のための工場はタイに置いている、というケースは少なくありません。
この場合、加工の最終工程が日本国内で行われていれば「国産」と表記することができますので、日本のペットフード業界においてタイの関与する機会は、私たちが思っているよりもずっと多いといえます。

そんなタイを原産国とするドッグフードには、どのような特徴があるのでしょうか。

国としてのタイ

タイ王国、通称タイは東南アジアの中心部に位置する国で、国土面積は日本の約1.4倍です。
年中を通して気温が高く、穏やかな国民性から「微笑みの国」とも呼ばれます。

親日国家としても知られており、海外旅行先としても人気です。
日本政府観光局(JNTO)による統計によると、2016年時点でタイは訪問先として第6位という高い順位にあります。
また、経済的にもタイと日本のつながりは強く、日本企業の海外進出先としてタイはメジャーな国となっています。
そういった背景から、ドッグフードの原産国としてタイの占める割合が高いのも頷けるでしょう。

安全性は?

飼い主さんがまず気になるのは、タイ産ドッグフードの「安全性」ではないでしょうか。
まずイメージの問題として、「国産は安心。外国産のものは欧米は比較的安心だけれども、それ以外の国はなんだか心配」と感じている方も多いと思います。

実際のところ、タイは日本と比較した場合、衛生環境はそれほど良くないといえます。
タイを訪れた日本人観光客も、屋台料理や水道水などが原因で食中毒や急性下痢になり、病院のお世話になる人も多いようです。
しかし、それと「ドッグフードの安全性」を結びつけて「タイ産のドッグフードは危険だ」としてしまうのはいささか暴論です。
タイの工場では衛生管理を徹底し、高品質なフードを生産しているところもあります。
タイ人は綺麗好きともいわれ、一日に何度も水浴びや入浴をする方もいるそうです。

とはいえタイのドッグフードに関する情報は少なく、品質に関してはっきりと言えることは少ないです。
どこまで国民性や環境を商品の安全性と結びつけて良いかは難しいところですが、ひとついえることは、国産であれタイ産であれ、品質は「工場やメーカーによって左右される」ということです。
食品偽装や衛生管理に関して連日ニュースで耳にしてしまう国であれば、避けることが賢明な場合もあります。

また、国がフードの品質に影響する国といえば、イギリスやドイツのような「ペットフード先進国」です。
これらの国は法によりペットフードの安全性が保証されていますので、すべてが安全であるとは言い切れませんが、ある程度の高水準を保っているといえます。
しかしそれ以外の国の場合は、メーカー側や工場の経営方針などによるところが大きいのです。
原材料表示やわんちゃんの様子を見て、ドッグフードの品質や身体に合っているかどうかを見極めるようにしましょう。

原産国がタイであるからといって、過度に不安にがる必要はありません。
どうしても不安が残る場合や、ワンちゃんに合わないという場合は、イギリスやドイツなどが原産国のドッグフードを選ぶとよいでしょう。

また、外国産のドッグフードには、「正規輸入品」と「並行輸入品」があります。
正規輸入品は、正規の代理店が直接輸入を行っているため、商品にとって最適な環境・最短ルートで輸送されます。
しかし並行輸入品の場合は仲介業者を挟み、そのほか別の商品とともに(場合によっては「ついで」として)輸送されますので、品質が落ちる可能性が高いです。
少々値段は高くなりますが、「正規輸入品」を購入するようにしましょう。