ドッグフードは劣化すると味が落ちる
普段与えているドッグフード、実は見えないところで「劣化」しているのをご存知でしょうか?
ドッグフードの、特にドライタイプのものはあまり「腐るもの」といったイメージがわかないかもしれません。
保存食のような意味合いが強いですし、中には未開封であれば、1~2年以上の保存が可能な商品もあります。
しかしそうはいっても食べ物なので、当然劣化もします。
未開封の状態でも、直射日光の当たるところに置いていたり、高温多湿の場所で保存してしまえば、パッケージに表記してある賞味期限よりも早く劣化してしまう可能性もあります。
開封後はなおさら保存方法に気を付けていないと、すぐに品質が落ちてしまします。
ワンちゃんは食べ物の劣化に敏感ですので、同じ銘柄でも質の落ちたドッグフードを食べたがらないかもしれません。
私たちの目からそれを判断することは難しいですが、ドッグフードの劣化スピードは存外はやいものです。
例えば、焼き海苔を想像してもらえれば分かりやすいと思います。
海苔は開封後は直後はパリパリとした食感で、風味も豊かで美味しく食べられます。
しかし30分も放置すれば、空気中の水分を吸ってしんなりとしてしまい、風味も飛んで美味しくなくなってしまいます。
これと同じことが、ドッグフードでも起きているのです。
そう考えると、食べるのを渋ってしまうわんちゃんの気持ちも分かると思います。
ドッグフードの劣化の原因
それではこの「劣化」は、どのようなことが原因で起こるのでしょうか。
主な原因は、酸化と湿気です。
そしてそれらを防ぐためには、空気と水分に触れさせないことが必要になります。
酸化
酸化とは、物質が酸素と反応して酸化物となることです。
身近な例では、皮を剥いたリンゴを放置しておくと茶色くなりますよね。
それが酸化です。
ドッグフードも空気に触れると酸化します。
総合栄養食のドッグフードの場合、必須の栄養である「脂質」をカバーするために、油分が含まれています。
特に安価なドッグフードには、粒の表面が質の良くない油でコーティングされていることもあります。
この「油」が酸化しやすく、それを防ぐために大量の酸化防止剤が使用されていますが、それでも保存方法を誤ると酸化が進行し、フードの質が落ちてしまいます。
高品質なドッグフードの場合も、酸化防止剤に天然由来のものを使っていることが多いです。
身体には良いですが、酸化防止剤としての効力は人工のものより劣ります。
どちらにしろ「酸化」は、ドッグフードにとって天敵となりうるのです。
油分が酸化すると、「過酸化脂質」というわんちゃんの身体に害をなす成分に変化してしまいます。
それを防ぐためには、ドッグフードを密閉容器に入れるなどして、空気に触れさせないことが大切です。
また、酸化したドッグフードを食べ続けていると、動脈硬化や心筋梗塞、がんなどを引き起こす可能性がありますので、質の落ちたフードは食べさせないようにしましょう。
湿気
ドライタイプのドッグフードは、1年以上の保存が可能なものも多いです。
強力な保存料を使用していないものでも1か月は持ちますが、その理由は「水分が少ない」ことです。
ドライフードの水分含有量は基本的に10%以下であり、水分を抜くことで腐りにくくし、余計な保存料を使用しないようにしているのです。
しかしこれは、水分含有量の少なさあってこその話です。
フードが水分を吸って湿気てしまえば、腐りやすくなることは言うまでもありません。
その場合、記載された賞味期限を迎えていなくても、水分でドッグフードが劣化してしまっている可能性があるのです。
何も知らずにそれを与えてしまえば、わんちゃんの健康を害する恐れがあります。
そのため湿気を防ぐことは、ドッグフードを保存する上で非常に大切なポイントとなるのです。
保存の際は密閉容器に入れ、乾燥剤を入れておくと安心です。
このように、劣化したドッグフードは味が落ちるだけではなく、病気の原因となってしまう恐れがあるため、保存の際は十分に注意を払う必要があります。
ドッグフードの保存方法について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
→ドッグフードの酸化を防ぐ上手な保存方法
→ドッグフードの保存に適した容器の種類と選び方