肉の割合の高いドッグフードを選ぶ
ドッグフード選びに手慣れた飼い主さんであれば、商品の原材料表示に目を通すことは日常的に行っているでしょう。
そんな中で、特に気になるのは「お肉の含まれる割合の高さ」ではないでしょうか。
なぜなら、犬にとって最も大切な栄養素は「動物性タンパク質」であるからです。
犬に必要な栄養
犬本来の身体に合ったドッグフードを与えたいと考えるのであれば、「肉をメインにしたドッグフード」を選ぶことが大切です。
パンや白米、野菜などを喜んで食べるわんちゃんも多く見られることから、犬は雑食であると思われがちですが、彼らの先祖であるオオカミは立派な肉食動物です。
人間とともに行動するにつれて雑食化の進んだ犬ですが、それでもカテゴリーとしては「肉食動物」に含まれます。
そのため、ドッグフードの主原料は肉または魚が好ましいといえます。
穀物メインのドッグフードは避ける
犬の身体のつくりは、肉を消化するのに特化した構造になっています。
逆に言えば、穀物などの植物由来の食べ物の消化はあまり得意ではないということです。
タンパク質はわんちゃんにとって非常に大切な栄養素ですが、「植物性タンパク質」として、穀物などからも摂取は可能です。
また肉類に比べてコストが安くすむため、米や小麦、とうもろこしなどが、ドッグフードの主原料としてよく使用されます。
穀類は少量ならば腹持ちを良くしたり、効率の良いエネルギー源になりますが、(主原料になるほど)必要以上に含まれていればそれは「かさ増し」以外の何物でもありません。
本当にわんちゃんの健康を考えているのであれば、不必要なかさ増しなど行わないはずです。
穀物が主原料のドッグフードは、犬の身体よりもメーカー側の利潤に重点が起これている可能性が高いです。
そのため、肉類の使用率が低く、穀物が主原料になっているドッグフードはなるべく選ばないようにしましょう。
肉の使用率の高いドッグフードの見分け方
それでは、肉の含有量の高いドッグフードとそうでないものは、どのようにして見分けることができるでしょうか。
また、見分ける際の注意点はどのようなものなのでしょうか。
原材料表示を見る
肉の割合に関しては、ドッグフードの原材料表示を確認することで知ることができます。
ドッグフードの原材料表示は、原則として「内容量の多い原料」から記載することになっています。
そのため、表示の先頭に肉または肉に関するものが書かれていれば、そのドッグフードは肉の使用率が高い商品といえます。
逆に、先頭にくるものが「米」や「大豆」などの穀物だった場合、肉類が二番目以降にくる場合などは穀類などがかさ増しとして使用されている可能性が高いです。
分割(スプリッティング)に注意
原材料表示はドッグフードの品質を見定める重要な手がかりになりますが、先頭に肉類と表記されていても、安心できない場合があります。
「肉の割合の高いドッグフードが好ましい」ということは、犬の身体や食べるものについて少し調べればすぐにわかることです。
ドッグフード選びの際に、お肉がしっかりと含まれているかを基準にしている飼い主さんも多いと思います。
しかし、表記の仕方によっては肉を実際より多く見せたり、穀物を少なく見せたりと「ごまかし」が可能なのです。
一体どういうことでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
表記方法を少し変えるだけで、商品に含まれる肉の割合や量を多く見せることができます。
下記の例を見てください。
<パターンA>
小麦、トウモロコシ、肉類、動物性油脂…(以下省略)
<パターンB>
肉類(チキンミール、肉副産物、チキン)、小麦粉、小麦たんぱく、コーンスターチ、コーングルテン、トウモロコシ、小麦ふすま、動物性油脂…(以下省略)
さて、どちらの商品がお肉が多く使われているでしょうか。
多くの方は、「パターンB」と答えると思います。
「肉類」が先頭に来ていますので、原則通り順当にいけば、Bの方が肉の割合が多いと考えるほうが自然です。
また、肉類の種類も多く、たくさんのお肉を使用しているように見えますよね。
パターンAは、見てすぐに分かる通り、肉よりも穀物の割合が多くなっています。
しかし厄介なことに、この記載の場合パターンBもAと同様、穀物の割合が肉よりも高い可能性があるのです。
「肉類が先頭に来ているのに、穀物の方が多いの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかしこのような表記では、「絶対に肉の割合の方が高い」とは言い切れないのです。
一体なぜ、このようなことになっているのでしょうか。
実はパターンBはパターンAを言い換えただけのものなのです。
両者を「同じ製品の表記をかえただけのもの」としてもう一度見てみましょう。
色分けしてみると、よりわかりやすいと思います。
<パターンA>
小麦、トウモロコシ、肉類、動物性油脂…(以下省略)
<パターンB>
肉類(チキンミール、肉副産物、チキン)、小麦粉、小麦たんぱく、コーンスターチ、コーングルテン、トウモロコシ、小麦ふすま、動物性油脂…(以下省略)
こうしてみると、パターンBの「小麦粉、小麦たんぱく、小麦ふすま」はAの「小麦」を分割表記しただけのものであることがわかりますね。
一例として、原材料名の後ろにパーセンテージを振ると、以下のようになります。
パターンA
小麦40%、トウモロコシ30%、肉類20%、動物性油脂…(以下省略)
パターンB
肉類(チキンミール、肉副産物、チキン)20%、小麦粉18%、小麦たんぱく17%、コーンスターチ14%、コーングルテン9%、トウモロコシ7%、小麦ふすま5%、動物性油脂…(以下省略)
いかがでしょうか。
つまり、実際には肉の総量が穀物より少ないにも関わらず、原材料を分割することであたかもお肉の割合の方が高いように消費者に感じさせるのです。
確かに、一応ではありますが、パターンBも間違ったことは書かれていません。
グレーゾーンといえるでしょうか。
この原材料表示はあくまでたとえですが、AとBが同じ商品であるとした場合、「パターンBはインチキだ!」と思われる方もいるかもしれません。
しかしこのようなグレーゾーンともいえる表記方法が、ドッグフード業界において横行していることも事実です。
この手法は、分割(スプリッティング)と呼ばれています。
ドッグフードにおけるスプリッティングの主な方法は、
- 「鶏肉」を「チキン、チキンミール、ミートミール、チキンパウダー」などのように分割して表記し、様々な種類の肉が含まれていると錯覚させる
- 「小麦」や「とうもろこし」などの穀物を、「小麦粉、小麦たんぱく」「コーングルテンミール、トウモロコシ粉」などのように分けて表記し、肉類が先頭になるようにする(または穀物が少ないように見せかける)
などが挙げられます。
つまり、原材料表示の先頭に肉類がきていても、必ずしも肉を主原料としたドッグフードとはいえない、ということです。
本当に上質な素材を使用しているドッグフードの場合、あれこれと添加せず、原材料表示がスッキリとしていることが多いです。
同じ素材を言い換えたような表記が目立つ場合は、「分割」が行われている可能性が高いです。
善良なメーカーであれば、このように消費者をだますようなやり方はとらないはずですよね。
もちろん、全てのドッグフードメーカーが該当するわけではありませんが、全てのメーカーが100%信頼できるとは限らない、ということです。
このような例もありますので、ドッグフード選びは慎重に行いましょう。