私たち人間は、生きていれば病気にかかることもありますが、それは犬も同じです。
ワンちゃんが病気になってしまった場合、食事療法が必要になってくることもあります。
愛犬が病気になった際、慌てずに対応できるように、療養食についての知識をつけておきましょう。
療養食(療法食)とは
療養食とは、病気を改善することを目的に、栄養素が調整された食事(ペットフード)のことです。
「療法食」という表記がされることもありますが、意味としてはほとんど一緒です。
1940年代にアメリカで実用化され、1970年代に日本で本格的に導入されました。
動物病院でワンちゃんが何らかの病気だと診断された場合、獣医さんから処方されることもあります。
病気やその症状は多岐に渡るため、療養食も多くの種類があります。
市販品だけでも、心臓病、肥満、皮膚病、腎臓病、消化器系疾患など、様々な病気に対応したものが売られています。
療養食に関する注意点
療養食を与えるにあたって、いくつか注意しておかなければならないことがあります。
まず、療法食は総合栄養食ではないということです。
限りなく総合栄養食に近しいものもありますが、特定の栄養素を削ったり足したりしている以上、「健康な犬にとってベストな栄養素がバランスよく含まれている」と断言することはできないのです。
そして、獣医さんから処方されることもあり薬のような扱いを感じる療法食ですが、実は医薬品ではありません。
療養食に薬は含まれていないため、それを食べさせているだけでは病気は治りません。
あくまでも「病気の改善のために栄養素を調整したフード」なのです。
医薬品ではありませんが、特定の栄養素を増やしたり減らしたりしているため、獣医さんの指示に従わずに使用すると、かえって健康を害してしまう恐れがあります。
療養している病気には効果があるかもしれませんが、場合によっては栄養の偏りなどにより別の病気を発症してしまうリスクも併せ持っているのです。
偏りが気になる場合は、普通のドッグフードにサプリメントなどを加えて調整してあげてもよいかもしれません。
病気はデリケートな問題なので、飼い主さんが素人判断でフードを作ったり、与え方を変えてはいけません。
逆に病気が悪化したり、別の病気になってしまう危険性があります。
必ず、獣医さんに一度相談してからフードを切り替えるようにしましょう。
療法食の種類
実は療養食も、購入経路によっていくつかの種類があります。
どこで手に入るかによって、その特徴も変わってくるのです。
動物病院のみで販売される療養食
獣医さんから処方される療養食です。
日本では動物病院のみの販売となりますが、最先端の獣医栄養学が反映されています。
そのため獣医さんの詳しい指導のもと、食事による病状改善を図ることができます。
多くのメーカーが開発しており、ドライフードだけでなく缶詰やレトルトパウチなどのウェットフードなど、様々な種類を選ぶことができます。
その反面、嗜好性が低く、ワンちゃんがなかなか食べてくれないというデメリットがあります。
獣医師の指導の下、ぬるま湯でふやかしたりトッピングを加えるなどして、嗜好性を高めてあげましょう。
ペットショップやインターネットで買うことのできる療養食
動物病院だけでなく、ペットショップやインターネット通販などで購入できる療養食です。
こちらも栄養学に基づいた高品質なフードで、病院以外でも手に入れることのできる手軽さを持ち合わせています。
しかし、動物病院にて処方されるものよりも、効果に対する実験結果などが提示されていないことがあります。
市販品に成分調整を施した療養食
一般的に売られているドッグフードの栄養を調整して、療養食として販売されているフードです。
皆さんが普段目にするメーカーのものもあるかもしれません。
手軽に購入することができ、便利ですが栄養の調整が部分的にされているため、思ったほどの効果が得られない可能性があります。
また、栄養の偏りから、療養中の病気とはまた別の病気を発症してしまうかもしれません。
市販品といえど、獣医さんの指示に従って与えるようにしましょう。
同じ病気に対するものでも、メーカーによって成分が大きく異なることもありますので、フード選びは慎重に行いましょう。
手作り療養食
飼い主さん自身の手で作る、手作りの療養食です。
こちらも獣医師の指導や病気管理用のレシピのもと、行うようにします。
原材料がはっきりしているため安心度が高く、愛犬の体調や好みによって柔軟な対応をすることができます。
とはいえ、厳密な栄養分調整をすることが難しいため、注意が必要です。
心配な場合は、サプリメントなどを活用してもいいかもしれませんが、この場合も獣医さんの指示を仰ぐようにしましょう。