ドッグフードの原材料表示「肉・ミート」
犬の食生活において、最も大切なのがお肉です。
犬は人間と比較しておよそ4倍のタンパク質を必要とします。
なかでも動物性タンパク質は犬の身体とも相性がよく、ドッグフードには欠かせない原材料になります。
犬は元来肉食傾向の強い動物ですので、肉を消化しやすい身体のつくりをしています。
植物性の原料よりも、動物性の原料の方が消化率がずっと高いということです。
また、犬にとって肉は非常に嗜好性の高い食べ物です。
一般的に高品質とされるドッグフードにも、良質なお肉が使用されているものが多いです。
肉の良し悪しがドッグフードの品質を左右すると言っても過言ではありません。
そんな重要なお肉ですが、格安のドッグフードにはゴミ同然、もしくはゴミ以下といった品質の肉が平然と利用されています。
しかし、原材料表示に書かれる「肉」や「ミート」の表記から、ある程度品質を予測することができます。
ドッグフードに使用される肉
まずは、ドッグフードに使われるお肉について考えてみましょう。
「ドッグフードに使用されるお肉」と聞いて、どのようなものを想像するでしょうか。
例えば、ドッグフードのパッケージに「ビーフたっぷり」や「国産肉使用」といった宣伝文句があれば、私たちが日ごろ食べているようなお肉が使用されていると想像する飼い主さんも多いと思います。
しかし実際は、人が食べられないどころか廃棄されるべきお肉が、ドッグフードの原材料として使われているのです。
ドッグフードに使用される肉類は、基本的に人間の食べるものよりも低品質であることが多いです。
人が食べられる基準に達しなかったもの(=廃棄予定のもの)は安く仕入れることができるため、ドッグフードメーカーとしても都合がよいからです。
人が食べられる品質の肉を使用していれば、
- 「ヒューマングレードの肉を使用」
- 「人も食べられる品質の肉を使用しています」
などといった注意書きがパッケージなどにされているはずです。
平均的に原材料の水準の低いドッグフードの界隈では、「人が食べられる素材を使用」していることは十分箔になりえるものなのです。
そういった強みがあるのであれば、商品の価値を上げるためにその旨をきちんと記載のが自然です。
特に記載もなく、原材料表示にただ漠然と「肉類」などと記載されているのであれば、人の食べられないような低品質のお肉を使用している可能性が高いといえます。
ひとくちに「低品質」といっても、具体的な想像がしにくいかと思いますので、USDA(アメリカ)による肉の格付け基準を紹介します。
- Prime:最もジューシーな肉。霜降り・テンダーカット
- Choice: 霜降り・テンダーカットであるが、Primeより若干下のグレード
- Grade A(スタンダード): ジューシーではなく、テンダーカットでもないが、標準的な柔らかさ。 一般的に人間が食するグレード
- Commercial: ひき肉用
- Utility:サンドイッチ・ホットドッグ用
- Cuttings:缶詰肉、最も低級の肉であるが人間用の食材として使用される
- Other Use:人間用の食材としては使用禁止
- Grade D(3D Meat):Dead=死亡した、Diseased=疾病のある、Dying=瀕死状態
(PERORIホームページ(https://natural-food.jp/store/contents/dogfood/article-68/)から引用)
ドッグフードに使用される肉は、この中ではどの部分に相当するでしょうか。
3、せめて4程度と思いたいところですが、実際は7か8レベルの肉が使用されているケースがほとんどです。
最も低いグレードに、「3Dミート」という文字がありますが、これよりさらに低いものが「Disabled(障害のある)」を追加した「4Dミート」と呼ばれるものです。
この「4Dミート」が、ドッグフードに使用されていることもあるのです。
とくにこういった傾向は、安価なドッグフードによくみられます。
※4Dミートに関して詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
→4Dミートを含まない安全なドッグフードの選び方
これは値段について考えてみると分かることですが、極端に安価なドッグフードの場合、私たちの食べられるような品質の肉が使用できるはずがないのです。
私たちが日ごろ口にするお肉は、どんなに安くても100gあたり100円ほどです。
大型スーパーやホームセンターなどでは、10kg2000円といった非常に安価なドッグフードが売られています。
単純計算で、100gあたりにかけられるお金は20円以下ということになります。
実際は利益や広告費などの諸費用がさらにかかりますので、原材料に当てられるのは10円かそれ以下です。
10円で調達できるお肉がどのようなものか考えれば、「4Dミート」が使用されている現状も頷けるとのではないかと思います。
特に日本では、ドッグフードに対する関心がまだまだ弱く、ドッグフードは「食品」としてではなく「雑貨」として販売されています。
このことからも、ドッグフードに使用する原材料の品質の程度が想像できるのではないでしょうか。
その反面、高品質なドッグフードの中には、原材料(肉)の産地や育成法にまでこだわった商品もあります。
そういったドッグフードに使用される肉は、下手をすれば人の食べるものよりも気を配っているのではないかと思えるほど、徹底した品質管理がされていたりします。
このように、ドッグフードに使用されるお肉は品質がピンからキリまであります。
本当に高品質なお肉が使用されているドッグフードは、残念ながらあまり数が多くありません。
気を抜いていると、うっかり「4Dミート」の含まれるドッグフードを購入してしまうこともあるかもしれません。
そういった事態を避けるためにも、飼い主さんが正しい知識をもってドッグフード選びをするしかないのです。
それでは「安全な肉を使用しているかどうか」は、いったいどのようにして判断すればよいでしょうか。
表記方法による違い
原材料表示の表記方法の違いによって、使用されている肉の質をある程度見分けることができます。
危険な肉が使われているドッグフードを避けられるように、区別をつけられるようにしておきましょう。
「肉類」という表記(注意が必要)
「肉類」という表記が原材料表示に出てきたら、それは避けるべきドッグフードです。
「○○類」や「○○など」のような曖昧な表記は、大きな声では言えないような原材料を使用していることの表れです。
本当に安全な原材料を使用しているのであれば、それは商品の「売り」になりますので、具体的な表記をするはずだからです。
下記のような表記を見かけたら、そのドッグフードの購入は控えましょう。
「4Dミート」のような危険な肉が使用されている可能性が高いです。
- 「肉類」「○○など」といった、他に何が含まれているかわからない表記
-
例:「肉類(チキンなど)」「家禽類」
こういった不明瞭な書き方がされているものは、粗悪な原材料をごまかしている可能性が高いです。
パッケージにそれらしい宣伝文句が書かれていたとしても、鵜呑みにしないようにしましょう。 - 「ミール」「パウダー」「エキス」などの、原材料の原型がとどめていないものを使用している場合
- 例:「チキンミール」「家禽ミール」「ビーフエキス」「ミートパウダー」
人の食べるものにもいえることですが、粉などのもとの原型をとどめないような食品は、何が混入しているかわかりませんし、見抜くことも難しいです。
参考記事→ドッグフードの原材料「肉粉・ミートミール」とは?リスクも解説 - 「○○副産物」という表記
- 例:「肉副産物」「チキン副産物」
「副産物」とは、可食部分以外のすべてを指す言葉です。
内臓だけでなく糞尿や骨、歯などが含まれることもあります。
参考記事→ドッグフードの原材料「肉副産物・ミート副産物」の危険性とは? - 肉などの表記が先頭に来ない場合
-
例:「穀類(トウモロコシ等)、肉類、チキンエキス」
原材料表示は基本的に、含有量の多いものから記載されます。 肉類が先頭にこないということは、肉以外のものがそれより多く使用されているということです。
犬にとって最も必要な栄養は、肉などから採れる動物性タンパク質です。
しかし、肉よりも穀物(植物性タンパク質)のほうが安くすむため、安価なドッグフードにはこのような製品もあります。
ワンちゃんの健康を考えるのであれば、肉類が原材料表示の先頭にくるドッグフードを選びましょう。
「○○肉」という表記(比較的安全)
逆に、「○○肉●%」といった具体的な表記がされているものは、安全なお肉が使用されている可能性が高いです。
例:「鶏むね肉20%」「ラム生肉」
具体的な表記がされているということは、それだけきちんとした管理が行き届いているということです。
ドッグフードを購入する際は、以下のような原材料表示のものを選ぶようにしましょう。
- 「○○類」「○○など」といった曖昧な表記を使用しない
- 肉の種類だけでなく、部位や割合などが具体的に書かれている
- 「ヒューマングレード」または「人も食べられる食材を使用しています」などの注意書きがされているもの
- 原材料表示の先頭に「肉」とくるもの
これは肉類の表記に限った話ではないですが、より具体的な書き方がされている原材料は、比較的安全性が高いといえます。
反対に曖昧な表記がされているものや、原型をとどめない材料が使用されているものは、いくらでもごまかしがききますので、危険なものである可能性が高いです。
まとめ
犬の健康を考えるのであれば、きちんとしたお肉が使用されているものを与えたいですよね。
パッケージの写真や宣伝文句などに惑わされずに、正しいドッグフード選びをしましょう。
肉類についてさらに詳しくは→ちゃんとした肉の入っているドッグフードを選ぼう!