ドッグフードの原材料「うずら卵」
「日頃、何の卵を食べていますか?」と質問されたならば、ほとんどの日本人が「鶏の卵」と答えるのではないでしょうか。
ただ単に「卵」といった場合には「鶏の卵」を指すことも多いほど、鶏卵の消費量の多い日本において、ウズラ(うずら/鶉)の卵はどちらかといえばマイナーな存在です。
「ウズラの卵なんて、中華丼や蕎麦の付け合わせくらいでしか食べる機会がないよ」という方も多いことでしょう。
ウズラの卵は割りにくく、茹でた後に殻を剥くのも一苦労です。
これには、ウズラの卵の内側に存在する皮が鶏卵に比べて薄く(約二分の一ほどの厚さ)、その反面、強度は倍であることや、殻の強さが鶏卵の三分の二ほどであることなど、さまざまな要因が影響しています。
また、ウズラの卵は鶏卵と比べてサイズが小さいため、メインで料理に使うためにはこの面倒な割卵(卵を割ること)や殻剥きの処理をたくさんこなさなくてはなりません。
このように、調理するのに手間のかかるウズラの卵よりも、殻も割りやすくサイズも大きな鶏卵に人気が集中することは当然の流れでしょう。
しかしウズラの卵は、そのかわいらしく小さな外見に似合わず、ワンちゃんの健康にも有益な栄養素の宝庫なのです。
中国では古くから、ウズラの卵が滋養強壮に良いとされ、現代でも妊婦さんや病気をした人などから好まれているといいます。
ドッグフードに使われることはほとんどないウズラの卵ですが、含まれる栄養素の働きや犬に与える際の注意点などをチェックして、手作りフードに活用してみてはいかがでしょうか。
ウズラの卵の豊富な栄養素
ウズラの卵には動物が生きていくために必要な各種栄養素がギッシリと詰まっています。
これは、ヒナが卵からかえるまでの間、卵の中にある栄養素だけで成長しなければならないためです。
残念ながらビタミンC(※1)と食物繊維は期待できませんが、その他の栄養素は幅広く含まれています。
※1 ビタミンCは、人間以外のほとんどの動物の体内で作り出すことが可能です。わざわざ外部から摂取する必要がないため、卵には含まれていないと考えられます。犬もビタミンCを体内合成できますが、病気やストレス、激しい運動などによって消費量が増えると不足する可能性もあるといわれています。その場合には、食品などから補ってあげることも必要です。
下の表は、ウズラの卵と鶏卵の主要栄養素の含有量を比べてみたものです。
栄養素 | 単位 | うずら | 鶏卵 |
---|---|---|---|
エネルギー | kcal | 179 | 151 |
タンパク質 | g | 12.6 | 12.3 |
脂質 | g | 13.1 | 10.3 |
ビタミンA (レチノール) | μg | 350 | 195 |
ビタミンB1 | mg | 0.14 | 0.06 |
ビタミンB2 | mg | 0.72 | 0.43 |
ビタミンB6 | mg | 0.13 | 0.08 |
ビタミンB12 | μg | 4.7 | 0.9 |
葉酸 | μg | 91 | 43 |
ビオチン | μg | 19.3 | 25 |
パントテン酸 | mg | 0.98 | 1.45 |
カルシウム | mg | 60 | 51 |
鉄 | mg | 3.1 | 1.8 |
セレン | μg | 46 | 32 |
鶏卵よりもウズラの卵に多く含まれている栄養素の数値は、赤く示してあります。
赤字の部分が非常に多いことがお分かりいただけるでしょうか。
「優れた総合栄養食」と呼ばれ、卵の中では日本トップの消費量を誇る鶏卵以上に、ウズラの卵は栄養豊富な食品なのです。
エネルギーや脂質など、一般的にはあまり歓迎されない栄養素も、ウズラの卵は高い傾向にあります。
これは、ウズラの卵における卵白と卵黄の比率によるものです。
ウズラの卵は鶏卵に比べて卵黄の占める比率が高いため、どうしても全体的なカロリーや脂質、コレステロールの量も上がりがちになります。
肥満気味のワンちゃんにとってはやや気になるポイントではありますが、このたっぷりの卵黄は、ウズラの卵のこっくりとした豊かな味わいや香りに繋がってもいるのです。
ウズラの卵には、ビタミン類や葉酸、鉄なども豊富に含まれています。
鶏卵よりも特に多く含有されているこれらの栄養素について、詳しくみていくことにしましょう。
ビタミンA(レチノール)(鶏卵の約1.8倍含有)
ビタミンAは、レチノールとβ‐カロテン(ベータカロテン)という2種類に大別されます。
レチノールは主に肉や魚、ミルクなどの動物性食品に、β‐カロテンは野菜などの植物性食品にそれぞれ多く含有される傾向があります。
ウズラの卵は動物性食品であるため、レチノールがたっぷりです。
β‐カロテンが体内で変換されるまでビタミンAとしての効力を持たないのに対して、レチノールはそのままでビタミンAとして活動できるという性質を持っています。
レチノールはβ‐カロテンに比べて作用が強く、体内に吸収されやすいというメリットがありますが、大量摂取で過剰症(皮膚の発疹や脱毛、赤血球の減少など)が誘発されるリスクもあるため注意が必要です。
ビタミンAの最も代表的な健康効果は、目への働きです。
ビタミンAは、光を感じる役割を持つオプシンという細胞を作る材料となります。
このオプシンがきちんと機能することによって、正常な視力や暗所での視覚が保たれているのです。
そのためビタミンAが不足すると、夜盲症(いわゆる鳥目)を発症し、光量の少ない場所で物が見えにくくなってしまいます。
一般的に、ワンちゃんたちは視覚よりも嗅覚をメインに活動していると思われがちです。
確かに慣れた場所(日頃生活している家の中など)であれば、視力が弱っていても嗅覚や聴覚、触覚を駆使しながらスイスイと動き回れる子も少なくありません。
とはいえ、犬が日常生活で視力に頼っている比重は決して低くはないのです。
視力が落ちる、暗闇で物が見えないなどの症状が起こることによって不安感を抱く子も多いため、ビタミンAを不足させないように気を付けてあげましょう。
ビタミンAには、粘膜を丈夫にして細菌やウイルスの感染症からワンちゃんを守ってくれる働きもあります。
寒さが強まり風邪をひきやすくなる冬場などには特に心強い栄養素です。
ビタミンB1(鶏卵の約2倍含有)
ビタミンB1は、ブドウ糖(炭水化物が分解されることによってブドウ糖になります)からエネルギーが産生される時に必要な栄養素です。
また、乳酸(エネルギーが生まれる時に発生する副産物)を代謝させ、再度エネルギーを作り出せる状態へと戻す作用もあり、疲労回復効果も期待できます。
エネルギーを作り出すために不可欠なビタミンB1ですから、欠乏すると体を動かすパワーが足りなくなり、易疲労感(少しの運動をしただけでも疲れやすくなるなど)や筋力低下を招きます。
また、ビタミンB1の欠乏症の中で最も有名なものは脚気(かっけ)です。
脚気は、軽いうちは倦怠感や動悸などがみられ、ひどくなると心不全で死亡するケースもある侮れない病気です。
成長期のワンちゃんは、特にビタミンB1の要求量が高く、成犬の倍の量を摂取させることが必要といわれています。
ビタミンB1が豊富なウズラの卵は、育ち盛りの子犬にもピッタリな食材なのです。
ビタミンB2(鶏卵の約1.7倍含有)
ビタミンB2は、タンパク質・炭水化物・脂肪という3大栄養素がエネルギーへと変換される際に働く酵素をサポートする役割を持ちます。
特に脂肪を燃やす際には多くのビタミンB2が使われ、これにより脂肪が効率よく消費されてワンちゃんのパワーに変わるだけでなく、内臓への蓄積も抑えられるのです。
またビタミンB2には、グルタチオンペルオキシダーゼという酵素をリサイクルする働きを持つ「グルタチオン還元酵素」を助ける作用もあります。
過酸化脂質(※2)を減らす役目を持つ物質が、グルタチオンペルオキシダーゼです。
しかし、この酵素は一度過酸化脂質を無害化すると、使い物にならなくなってしまいます。
これをもとの状態に復元し、再び過酸化脂質と戦えるようにすることができる存在が、グルタチオン還元酵素です。
ビタミンB2は、この酵素の働きを助け、過酸化脂質を効率よく減らすことに貢献しています。
※2 過酸化脂質・・・活性酸素によって脂肪が酸化された状態を指します。体内には多くの脂肪が存在しますし、活性酸素も呼吸をしたり体を動かすだけでも発生するものです。どちらも動物が生きていく上で必要なものではあります。しかし、これらが過剰になって合わさる(脂肪が酸化されること)ことで、体内の細胞が連鎖的に酸化し、ガンや心臓病、高血圧、アレルギーなど多くの疾患の引き金となるのです。
ビタミンB12(鶏卵の約5.2倍含有)
ビタミンB12は健康な赤血球を合成するために不可欠な栄養素です。
ビタミンB12が不足すると、正常な赤血球が作られなくなる巨赤芽球性貧血という症状が起こります。
巨赤芽球性貧血の症状は、鉄欠乏性貧血と同様に、動悸やめまい、下痢などの消化器症状、神経過敏などさまざまです。
ビタミンB12には、神経の正常な働きを助け、首や肩のコリを解消する働きもあります。
愛犬が飼い主さんをジッと見上げる仕草はとても愛らしいものですが、これは首コリや肩コリを起こしやすい動作でもあるのです。
そのため、コリに悩むワンちゃんは多いといわれています。
ウズラの卵には、鶏卵の5.2倍ものビタミンB12が含有されています。
日頃の食事に上手に取り入れて、愛犬のコリを癒してあげましょう。
葉酸(鶏卵の約2.1倍含有)
葉酸は、ビタミンB群に分類される栄養素です。
前述のビタミンB12とともに、赤血球を作り出し、ワンちゃんを貧血の害から守ってくれます。
また、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)といった遺伝物質の合成にも関与する葉酸は、胎児の健やかな発育には欠かせません。
妊娠中のワンちゃんには、特に積極的に摂取させたい栄養素のひとつです。
鉄(鶏卵の約1.7倍含有)
鉄は、ワンちゃんの体中に酸素を届ける働きを持つヘモグロビンという成分の原料として使われます。
前述した巨赤芽球性貧血に対して、鉄不足は鉄欠乏性貧血を招きます。
ビタミンB12と葉酸、そして鉄という3種類の栄養素を豊富に含んでいるウズラの卵は、ふたつの貧血を同時にケアできる優れた食品なのです。
セレン(鶏卵の約1.4倍含有)
セレンはセレニウムとも呼ばれます。
月のようにきれいな光を発しながら燃えることから、ギリシャ語で「月」を意味する「selene(セレーネー/セリニなど、時代によって発音が変わります)」から名付けられたといわれています。
また、元素の周期表において、地球を意味するテルルの名を関した金属の真上に配置されたことから、地球と月の位置関係になぞらえて「月(セレン)」と呼ばれるようになったという説もあります。
ビタミンB2の項目でご説明した、グルタチオンペルオキシダーゼの原料となる栄養素がセレンです。
すなわちセレンは、体内の過酸化脂質を減少させるために必要な成分なのです。
さらに、水銀などの有害物質の毒性を弱める作用もあるといわれています。
古くから、毒性が強い成分として知られてきたセレンが、健康維持にも必要であると判明したのは1950年代後半になってからです。
そのため、セレンに関してはまだ分からないことも多くありますが、微量で足りるミネラルであるため、欠乏よりは過剰摂取に注意が必要です。
各栄養素の働きや、欠乏症過剰症などの詳細については、それぞれこちらの記事をご確認ください。
→ドッグフードの栄養素「ビタミンA」の働きとは?過剰摂取に注意
→ドッグフードのビタミンB1の働きとは?欠乏した犬はどうなるの?
→ドッグフードの栄養素「ビタミンB2」の働きと欠乏の危険性
→ドッグフードの栄養素「ビタミンB12」の働きと欠乏のリスクとは?
→ドッグフードの栄養素「葉酸」の働きとは?不足すると貧血になる?
このように、ウズラの卵はさまざまな面からワンちゃんの健康をサポートできる食材ですが、特に妊娠中のワンちゃんの体調維持や、子犬の健やかな発育に役立つ食材であることが分かります。
ドッグフードに使用されるのはウズラの卵よりも肉
ウズラの卵を使用したドッグフードは、2018年1月現在、販売しているメーカーは確認できませんでした。
現時点で、卵の入ったドッグフードを愛犬に与えたいと思われる時には、鶏卵を使った商品を選ぶしかなさそうです。
殻を割ったり剥いたりする手間や、1個当たりの大きさを考えると、やはり鶏卵の方が効率性に優れていますので、フードメーカーも利用しやすいのでしょう。
猫ちゃん用のフードであれば、ごく一部、ウズラの卵を使用したものが売られています。
しかし、ワンちゃんと猫ちゃんとでは必要となる栄養バランスが異なるため、ワンちゃんにはワンちゃん用のフードを選んであげましょう。
卵ではなく、ウズラの肉や内臓はドッグフードの原料として使われることがあります。
ドライフードやウェットフードに入っている他にも、手作りごはん用のミンチ肉やソーセージ、中にはウズラ丸ごとといった商品までも販売されています。
また、ワンちゃん用のチップスなどのおやつにも活用されており、ペットショップや通信販売などで入手することが可能です。
犬にウズラの卵を与える際の目安量
ドッグフードに使われていない以上、ワンちゃんにウズラの卵を食べさせるためには、飼い主さんご自身で調理をすることが必要です。
とはいえ、栄養がタップリと詰まったウズラの卵は、カロリーもコレステロールも高めな食品です。
「うちの愛犬には、どの程度の量まで与えても大丈夫なの?」、と悩まれることもあるのではないでしょうか。
あくまでも目安程度にはなってしまいますが、犬の体重別にまとめたウズラの卵の許容量(1日当たり)をご紹介します(1個当たりのウズラの卵の重さは13gと仮定しています)。
犬の体重 | 1日当たりの目安量 | ウズラの卵の目安個数(カッコ内は1個=13g換算の実際の卵の重さ) |
---|---|---|
1㎏ | 7g | 約半分 (6.5g) |
5㎏ | 25g | 約2個 (26g) |
10㎏ | 41g | 約3個 (39g) |
20㎏ | 70g | 約5個 (65g) |
ただし、これは鶏卵の目安量を、ウズラの卵の標準的なサイズに当てはめたものです。
ウズラの卵は鶏卵よりも栄養素の含有量が多いため、実際には上の表よりも控えめな量を与えるようにした方がよいでしょう。
ビオチンとアレルギーに注意
ウズラの卵をワンちゃんに与える時には、注意したいポイントがふたつあります。
それは、ビオチンの吸収を阻害するアビジンという物質と卵アレルギーです。ひとつずつご説明していきます。
ビオチンの吸収を邪魔するアビジン
アビジンは、ビオチンとの結合作用があり、ビオチンの吸収を妨げる作用を持った物質です。
ウズラの卵の卵白に多く含まれており、生で摂取した時にこの働きが起こります。
ビオチンとはビタミンB群の一種であり(別名ビタミンB7)、糖質や脂質のエネルギー変換の際に活躍する補酵素(酵素の働きを助ける栄養素)です。
ワンちゃんの被毛や皮膚の潤いを保つ作用もあります。
ビオチンが欠乏することにより、脱毛や皮膚炎の発症、フケの増加など、さまざまな症状がみられるようになります。
また、子犬の成長が阻害される、生まれてくる子犬の催奇性(※3)が高まる(妊娠期のメス犬に欠乏した場合)など、深刻な事態を引き起こすこともあるのです。
※3 催奇性・・・胎児に奇形を発症させる性質のことです。
アビジンによるビオチンの欠乏を防ぐためには、2つの方法があります。
ひとつには、ウズラの卵を加熱することです。
アビジンに80度以上の熱を加えることによって、ビオチンとの結合作用を失活させることができます。
卵にはサルモネラ菌(※4)などの細菌類が付着(あるいは中に侵入)しているケースもあるため、加熱することで食中毒のリスクからワンちゃんを遠ざけることもできます。
※4 サルモネラ菌・・・食中毒を引き起こす細菌の一種で、犬にも人にも感染します。
健康な成犬であれば、感染しても症状が出ないことも多いですが、病気を持っているワンちゃんや子犬、シニア犬といった免疫力の低い子においては、嘔吐や下痢、元気消失などがみられることもあります。
また、抵抗力の弱い人間が感染した場合には、下痢や高熱を発症し、亡くなるケースもあるため注意が必要です。
サルモネラ菌はウズラの卵だけではなく、鶏卵からも感染します。詳しくは鶏卵のページをご確認ください。→ドッグフードの原材料「鶏卵」の栄養素と犬に与える際の注意点
また、もうひとつはウズラの卵白と一緒に卵黄も食べさせることです。
卵黄にはビオチンが豊富に含まれています。
たとえアビジンによって吸収が邪魔されても、卵黄を食べさせることによってそれを上回る量のビオチンを摂取させることが可能となります。
この方法であれば、ウズラの卵を生で愛犬に与えることもできるのです。
ただし、生卵を犬に与えても大丈夫かどうかは、専門家の間でも意見が分かれるところであり、最終的には飼い主さんの判断となってしまいます。
日本で流通している卵は衛生管理が徹底しており、細菌に汚染されたものが売られている確率は非常に低いという調査結果が出ています。
しかし、生ものである限り100%安全であるという保障はありません。
サルモネラ菌は、ワンちゃんが感染しても無症状で済むことも多いですが、人にうつると症状(下痢や高熱、嘔吐など)が出てしまうこともあります。
そのようなリスクも考慮した上で、卵を生で与えるか加熱するか、飼い主として責任を持って判断しなければなりません。
普段から生卵を与えていて問題のないワンちゃんであっても、体調が優れない時などには免疫力が下がり、感染症にかかりやすい状態になっています。こうした場合には、きちんと火を通した卵をあげるようにした方がよいでしょう。
ウズラの卵でアレルギーが起こることもある
鶏卵に比べると、ウズラの卵でアレルギーを起こすワンちゃんは少ないといわれています。
これは、卵アレルギーの主犯格であるオボムコイドというタンパク質の構造が、鶏卵とウズラでは異なるためです。
ウズラのオボムコイドはアレルギーを起こしにくいどころか、アレルギーの緩和にも効果があるのではないかとさえいわれ、研究が行われています。
この働きは、1960年代のフランスにおいて、ウズラの飼育を行っている家庭の人が、定期的にウズラの卵を食べていたところ持病である喘息の改善がみられたということから注目されるようになりました。
すでに人に対する研究も行われており、ウズラの卵でアレルギー症状が軽くなったというデータも多く得られているのです。
とはいえ、ウズラの卵によるアレルギーのリスクがゼロというわけではありません。
また、鶏卵とウズラの卵には交差性(※5)があるため、鶏卵で症状が出てしまうワンちゃんはウズラの卵にも気を付ける必要があります。
ただし、これは全ての鶏卵アレルギーのワンちゃんが、ウズラの卵も食べられないということではありません。
鶏卵にアレルギーがあってもウズラの卵では何ともない子や、その逆の子もたくさんいます。
※5 交差性・・・異なる種類のアレルゲン(アレルギーを発症させる可能性のある物質)であっても、免疫機能が同種と間違えて攻撃を仕掛けてしまい、アレルギー症状が出ることがあります。これをアレルゲンの交差性(もしくは交差反応)といいます。
卵に含まれるいくつかのタンパク質の種類の中で、最もアレルギーを引き起こしやすいのが前述したオボムコイドです。
オボムコイドのほとんどは白身に含まれており、加熱されてもワンちゃんの強力な消化酵素にさらされても変質しにくいという頑丈さを持っています。
水に溶け出しやすく、例えば卵の入ったスープや煮物の汁の部分のみを飲んだとしても、アレルギー症状が出てしまう可能性もあるのです。
食物アレルギーの症状は、皮膚や目の赤みや痒み、脱毛、嘔吐、下痢、くしゃみなど多岐に渡ります。
食物アレルギーに気付かずにアレルゲンとなる食べ物を与え続けていると、症状が重くなってしまう可能性もあります。
愛犬に心配な症状がみられる場合には、一度動物病院を受診してみましょう。
まとめ
現時点(2018年1月)では残念ながらドッグフードへの利用は行われていないようですので、飼い主さんが愛情を込めて調理したものを愛犬に食べさせてあげてください。
その際は、白身だけを集中的に与えないようにする(もしくは加熱する)、アレルギー症状が出ていないか注意するといった基本的なことを忘れないようにしましょう。