ドッグフードで太ったら
肥満は、様々な健康障害をもたらす危険な病気です。
そして同時に、飼い主さんの努力によって100%防げるものです。
裏を返せば、「肥満の原因は100%飼い主さんにある」ということです。
散歩の量が少なかったり、おやつを与えすぎたりしていないでしょうか。
とくに大型犬は、かなりの運動量が必要になりますし、小型犬は少量のおやつでもすぐに太ってしまうでしょう。
犬を飼うにあたって、パートナーの健康管理もしっかりと行ってあげることが大切です。
さて、おやつや運動量が原因ではなく、ドッグフードを食べて太ってしまった場合はどうすればよいでしょうか。
「このドッグフードがいけないから、ダイエットフードに切り替えよう」と、すぐに変えてしまうのはよくありません。
普段食べさせているドッグフードがわんちゃんの身体に合っていれば、それを与えるに越したことはないですし、フードの切り替えは犬にとって負担にもなります。
本当に太ったのか、常食しているドッグフードがいけないのかどうか、最初に確認するようにしましょう。
本当に太ったかどうかを確認する
まず、気を付けなければならないことは、体重が増えた=太ったということではないということです。
なぜなら、筋肉と脂肪では筋肉の方が重いからです。
「ドッグフードを切り替えたら体重が増えてしまった。このフードはやめよう」、とすぐに判断しないようにしましょう。
例えば、良質な肉の含有量が多いフードを与え始めた場合、タンパク質を摂取することで、今まではなかった筋肉がついたために体重が増えた、ということも考えられます。
このように、単純な重さだけでは肥満か否かをはかることは難しいのです。
もちろん、目に見えて肉がついて体重も増えてしまえば、それは「肥満」です。
もうひとつ気を付けるべきなのが、「犬種によって太って見えるかどうかが異なる」ということです。
ブルドックのようながっしりした犬の場合、たとえ太っているように見えても標準体型であったり、逆にミニチュアピンシャーのように元が細身でも、犬種的に見れば太り気味の可能性もあります。
そして飼い主さんはわんちゃんをほぼ毎日目にしているため、太ってきたことに気づきにくいことが多いです。
それでは、「犬が本当に肥満かどうか」はどのように見分けたらよいのでしょうか。
それは「くびれの有無」と「触れたときに骨の感触を感じるかどうか」です。
シルエットを見る
犬を上から見たときに、腰にくびれが見られれば肥満の心配はありません。
(あまりにくびれが顕著な場合は痩せすぎです。)
くびれがやや分かりにくければ危険信号、くびれがなければ肥満とみていいでしょう。
触ったときに骨の感触があるか
犬の身体に触れたときに、脂肪に覆われた背骨や肋骨の感触があれば、適正体重といえます。
骨が探しにくかったり、完全に脂肪に覆われて感触が伝わらないようであれば肥満です。
逆に、骨の感触が直接感じられたり、見てわかるほどに骨が浮いていたら痩せすぎです。
健康な生活を送ってもらうために、適正体重をキープさせてあげるようにしましょう。
ドッグフードの量を減らす
確実に肥満であると判明し、ダイエットをさせなければならない場合、効果的なのは「食事制限」です。
ダイエットフードに切り替えるのが主流ですが、ドッグフードの切り替えはわんちゃんにとってストレスになりますし、手間もかかります。
また、切り替えたダイエット用フードが身体に合わないことも考えられます。
ですので肥満の程度が軽く、少量の減量で済むのであれば、普段与えているドッグフードの量を減らすのもひとつの手です。
ドッグフードのパッケージに記載されている、「給餌量の目安」はやや多めに設定されていることが多いですし、犬によって一日に必要な量も変わってきます。
普段のフードが身体に合っていれば、少しだけ減らしてみてもよいのではないでしょうか。
もちろん、過度な食事の減量は栄養失調を招いたり、犬に強いストレスを与えます。
寒天や野菜などを使ってかさ増しをするのも効果的ですが、あまりにカロリー制限が必要な場合は、諦めてダイエットフードに切り替えましょう。
ドッグフードを30分ほどかけて手で少しずつ与え、少量でも満腹感と満足感を得られる方法もあります。
時間に余裕のある方は、試してみるとよいかもしれません。
ダイエットフードに替える
犬が肥満になってしまった場合、ダイエットフードに切り替える方は多いでしょうし、よく獣医さんが飼い主さんに勧めている場面も目にします。
ダイエット用ドッグフードは基本的に低カロリー・低脂質になるように作られているため、必要な栄養を摂りながらも量を減らさなくてすむことが大きな強みです。
犬の肥満対策に欠かせないダイエットフードですが、選ぶ際にいくつか注意しなければならないことがあります。
カロリー表示を確認する
いくらダイエット用のドッグフードと表記されていても、はっきりと「○○カロリー以下がダイエット用」という決まりがあるわけではありません。
同メーカーの同商品と比較すれば、カロリーを抑えて作られているかもしれませんが、他のメーカーの商品と比較した場合はどうでしょうか。
メーカーAの通常用ドッグフードと、メーカーBのダイエット用ドッグフードのカロリーがそう変わらなかった、という可能性もなくはありません。
せっかく犬のために切り替えたのに、これでは意味がありませんよね。
それどころか、嗜好性の低いものに切り替えたことでわんちゃんがストレスを感じてしまうかもしれません。
購入する際は、カロリー表示をよく確認し、普段のものよりローカロリーであるかどうか、きちんと確認してから選ぶようにしましょう。
穀物中心のものは避け、高タンパクなものに
ひとくちにダイエットフードといっても様々です。
お肉中心のものもあれば、穀物中心のものもあります。
ここで気を付けなければならないのは、穀物の使用されたドッグフードはなるべく選ばないようにするということです。
穀物(炭水化物)は効率の良いエネルギー源ではありますが、犬はその消化があまりうまくありません。
そしてエネルギー源として消化しきれなかった炭水化物は、そのまま脂肪に変わってしまい、太る原因となります。
しかし、市販品のダイエット用ドッグフードの中には、米などの穀物が原材料表示の一番目にくる製品もたくさんあります。
脂肪分はカットされていますが、炭水化物がメインではその効果も半減です。
このようにコスト削減のために、穀物でかさ増ししたフードは避けるようにしましょう。
また、高たんぱくであることも、ダイエット用ドッグフードを選ぶ際には重要なポイントです。
たとえ減量中であっても、身体をつくるもととなるたんぱく質は必要です。
とくに犬は人間と比べ、およそ4倍のたんぱく質を必要とするので、このたんぱく質が不足してしまうと様々な弊害が起きます。
たんぱく質不足により、筋肉量が低下すると代謝が落ちて逆に太る原因になってしまいます。
「高たんぱく・低カロリー」な食生活を目指しましょう。
ダイエット用ドッグフードは通常のものに比べて、嗜好性が低い場合が多いです。
ですので最初はわんちゃんも嫌がるかもしれませんが、今まで与えていたフードに少しずつ混ぜていくなどして、徐々に慣らしていきましょう。
↓ドッグフードの切り替え方
ドッグフードの上手な切り替え方とは?
おやつも低カロリーなものに
せっかくドッグフードで食事制限をしていても、カロリーの高いおやつを与えてしまっては台無しです。
あまりおやつは与えないほうが良いですが、どうしても与える場合は、野菜スティックなどのカロリーが低く身体によいものを選びましょう。
肥満以外の病気の可能性も
ワンちゃんが肥満になる原因のほとんどは、飼い主さん由来のものですが、中には内分泌系病気のために皮膚や内臓が腫れてしまい、太っているように見えることがあります。
病気の場合は素人判断は危険ですので、早期発見するためにも、ワンちゃんには病院で定期健診を受けさせることをおすすめします。