ドッグフードを手作りしよう!簡単レシピをご紹介

手作りドッグフードのポイント

「ドッグフードを手作りしてみたいけど、どんなものをつくっていいかわからない…」
「栄養の計算が難しそうで、なかなか手を出せない…」
そんな飼い主さんのために、手作りドッグフードのレシピをいくつか紹介します。

手作りドッグフードの基本的なポイントは、以下の通りです。

  • 水分をしっかり摂らせる
  • 栄養の偏りがないように気を付ける
  • 市販品で取れない栄養を摂らせてあげる(加熱に弱い物質など)
  • 食べさせてはいけない食材を把握する→手作りドッグフードに使わないで!犬に与えてはいけない食材
  • 具材は細かく切る
  • 体調のチェックを欠かさない(体重や便の状態を見る)
  • 忙しいときや飼い主さんが病気のときは市販品の代用も可(柔軟に使い分ける)
  • 長続きできるように、適度なところで手を抜く

注意すべき点は多いですが、あまり難しく考えず、簡単なものから始めていきましょう。

トッピングごはんのレシピ

突然完全な手作りをするのが難しい場合は、まずは通常のドライフードのトッピングするものを作るところから始めましょう。
栄養の偏りも少なく、手軽に始めることができます。
トッピングをする場合、ドライフードの分量は少な目にします。
ドライフードを通常の7~8割程度にして、トッピングはそのおよそ2割にします。

トッピングごはんについて詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
 →市販のドッグフードにトッピングしてみよう!方法と注意点を解説

豚肉と水菜のトッピングごはん

トッピングごはんの中でも最も基本的な、スープ+肉+野菜のレシピです。
基本的な分量や作り方は同じですので、肉や野菜の種類を変えれば、様々なフードに応用が利きます。

材料
食材/体重 5kg 10kg 20kg
豚肉 15g 25g 45g
水菜 15g 25g 45g
50cc 90cc 150cc
作り方

1. 豚肉を少し大きめにカットし、ゆでてスープを作る。ゆでた豚肉はトッピングに使うので、捨てずにそのままとっておく。

※鶏肉や牛肉は生や半生でも問題ない場合が多いですが、豚肉はトキソプラズマという寄生虫に感染している可能性があるため、生食は危険です。しっかりと火を通しましょう。

2.水菜は生のままみじん切りもしくはミキサーにかけて細かくする。

※生野菜は消化しにくいものなので、できるだけ小さくしてあげることがポイントです。 いっそのことペースト状にしてあげてもよいでしょう。

3.お皿にドッグフードを通常の7~8割程度出して、その上に1と2で作った豚肉と水菜をのせる。 人肌程度に冷ましたスープをかけて完成。

※具とスープはよく混ぜ合わせましょう。

期待できる効果

生野菜には食物繊維、ビタミン、酵素がたっぷり含まれており、体調改善に役立ちます。
豚肉で作ったスープにはタウリンなどの栄養素が流れ出しているため、水分補給をしながら栄養も摂れて一石二鳥です。
豚肉は良質なタンパク源ですので、わんちゃんの健康な身体をつくるのに役立ちます。

代用できるもの

豚肉を鶏肉、手羽先(骨は混ぜない)、牛肉などの肉類や、たら、鮭、かつおなどの魚類でも代用可能です。
いわしやさばなどの青魚は腐りやすいため、新鮮なもの以外は使用しないようにしましょう。

それ以外にも、生食用の鮮度のよい生肉を選んでもよいです。(豚肉はNG)
生肉は加熱したお肉にはない栄養がたっぷり含まれています。
冷たいままだとお腹に良くない刺激を与えてしまったり、食中毒などのリスクがあります。
心配な場合は、「レア」の状態になるまでサッとゆでてあげるのも効果的です。

水菜→生で食べられる野菜で代用することができます。
キャベツや小松菜、レタス、きゅうり、トマト、大根などです。
りんごやなし、スイカなどの果物でもよいです。

※分量も基本的に同じですので、肉か魚のスープ(と具)+生野菜のパターンで、様々なメニューをローテーションすることができます。

下記に別のパターンのメニューも紹介していきますので、みていきましょう。

卵とトマトのトッピングごはん(オリーブオイルがけ)

お肉だけではなく、卵も良質なタンパク源になります。
トマトと卵の組み合わせは、私たちも美味しく食べることができる定番のメニューですが、わんちゃんにとっても栄養満点な万能タッグです。
少量のオリーブオイルを追加してあげることで、貴重な不飽和脂肪酸を補うことができます。

材料
食材/体重 5kg 10kg 20kg
15g 25g 45g
トマト 15g 25g 45g
EXバージンオリーブ油 少さじ1/8 小さじ1/5 小さじ1/3

※卵1つの平均的な重さ(殻は含まない)は約50~60gです。
余った卵は、飼い主さんの料理に使うなどして対応しましょう。

作り方

1.卵をといてからフライパンに流し、軽く火を通す。 軽く混ぜて、スクランブルエッグにする。

※半熟だと消化に良いです。 黄身だけならいっそ生でもよいですが、生の白身を大量に摂るのはよくないので調整が必要なところです。

2.トマトは加熱せず、生のままでみじん切りにする。

3.ドッグフード(普段の7~8割の量)と1・2の材料を絡めます。 最後にオリーブ油をかけて、よく混ぜたら完成です。

期待できる効果

卵は、必須アミノ酸をバランスよく含む完全栄養食です。
お肉の代わりに良質なタンパク源となり、非常に優れた食材といえます。

また、トマトの赤い色素である「リコピン」は、ビタミンEの約100倍の抗菌化能力を持っています。
高血圧予防や、血液浄化などに効果的です。
最後にオリーブ油を追加することで、不飽和脂肪酸※をわんちゃんの身体に補給することができ、臓器機能の健康維持や肝臓の強化などの効果を期待できます。

※脂質は大きく二種類に分けられます。
常温で固まりやすい飽和脂肪酸と、常温でも固まりにくい不飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸はバターやラード、牛脂などに多く含まれ、過剰に摂取すると中性脂肪やコレステロールが増加し、動脈硬化などを引き起こします。
一方、飽和脂肪酸は体内でも液体の状態を保つことができ、血中のコレステロール値や中性脂肪を調節するはたらきがあります。
まぐろやさんまなどの魚類や、オリーブ油、ごま油などの植物油に多く含まれています。

代用できるもの

トマトの代わりに、生キャベツやきゅうりを使用してもよいです。
どれも水分が豊富で、解毒能力や酵素を持つ野菜です。
また、キャベツはキャベジンという独自の有効成分を含み、胃腸系のトラブル解消に友好的です。
きゅうりは水分が90%と特に水分豊富で、腎臓のろ過機能をサポートしてくれます。
わんちゃんの体調や必要な栄養に合わせて、変えてあげるのもよいでしょう。

手作りドッグフードのレシピ

トッピングごはんに慣れてきたら、次はいよいよ完全な手作りドッグフードに挑戦します。

穀物と野菜、そして肉や魚を全体のおよそ30~35%ずつの割合で与え、それにほんの少しのオイル(オリーブ油やサーモン油など)とカルシウム※(粉状のサプリメントが有効です)を追加してあげるだけで、手軽に栄養バランスのとれたごはんをつくることができます。

※ドッグフードを手作りするうえで大切なのが、カルシウムとリンのバランスです。
リンを多く取り込みすぎると、カルシウムの吸収がリンによって阻害されてしまいます。
手作り食を実践していると、どうしてもリンを摂取しがちになります。リンは様々な食材、特に肉や魚に含まれているからです。
きちんとカルシウムも補給しておかないと、骨がもろくなるなどの影響が出てきます。
逆にカルシウムを多く摂りすぎると、骨の形成異常や成長障害を引き起こすことがあるため注意しましょう。

犬の場合、カルシウムとリンをおおよそ1.2~1.4:1の割合で摂るのが望ましいとされています。
どちらか一方を摂りすぎないように、サプリメントなどをごはんに混ぜて調整してあげましょう。

根野菜と鶏肉のおじや(秋・冬用)

※腎臓機能をサポートするレシピです

根野菜と鶏肉をたっぷり使ったおじやです。
利尿作用や、冷え性改善などが期待できます。
犬は穀類の消化が得意ではないですが、米はおかゆやおじやにすると消化もよく、食べやすくなります。
腎臓への負担を減らし、腎臓病予防に効果的なレシピです。

材料
材料/体重 5kg 10kg 20kg
A ごはん 60~70g 100~120g 170~200g
大根・大根の葉・にんじん 計60g 計100g 計170g
煮あずき★1 10g 17g 30g
120cc 200cc 340cc
B 鶏もも肉 30g 50g 90g
30g(約1/2個) 50g 90g
鶏レバー 5g 8g 15g
C 亜麻仁油★2 小さじ1/5 小さじ2/5 小さじ3/5
すりごま★3 小さじ1/3 小さじ2/3 小さじ1
天然カルシウム★4 小さじ1/5 小さじ2/5 小さじ3/5
Bのゆで汁 大さじ1~2

※材料・分量は一日分です。 食事が1日2回の場合、一食分は全体の半分になります。

★1 煮あずきがなければ、ひきわり納豆でも代用可能です。
★2 亜麻仁油の代わりに、EXバージンオリーブ油やサーモン油を使ってもよいです。
★3 きなこでも代用可。
★4 食用の天然カルシウムです。サプリメントの一種で、インターネット通販などで購入できます。粉状のものがわんちゃんにとっても食べやすく、おすすめです。

作り方

1.Aの野菜をすべてみじん切りにする。

2.ごはんと煮あずきをAの水に入れ、おじやにする。 2~3分煮たら蓋をし、10分程度蒸らしておく。

3.Bの肉類は1cm角に切り、とき卵とともに別の鍋に入れる。 材料が浸るくらい多めの水(分量外)を入れ、1分間煮る。

4.1-2と3を人肌程度まで冷まし、器に盛る。 Cの材料を混ぜ合わせ、器に加える。 全体がなじむように混ぜたら完成。

※煮あずきの代わりにひきわり納豆を使用した場合は、最後にCの材料とともに混ぜ合わせます。

期待できる効果

リンの少ない良質なタンパク質をふんだんに使用し、水分をたっぷりと摂ることのできるこのレシピは、腎臓の働きをサポートする効果が期待できます。
腎臓は血液をろ過し、老廃物や塩分を尿として排出する機能を持ち、体内のフィルターのような役割を果たしています。
身体にとって必要なものは再吸収して体内にとどめることもできる、大切な臓器です。

しかし摂取する水の量が少なかったり、老廃物が多かったりすると、腎臓が目詰まりを起こしてしまいます。
すると体内に毒がたまり、様々な病気を発症しやすくなります。
それを防ぐためには、十分な量の水分を摂ること、血液を浄化すること、利尿・解毒作用の促進が効果的です。

亜麻仁油などの油には血液をサラサラにする効果があり、腎臓の機能をサポートしてくれます。
また、鶏もも肉は腎機能を補う補腎作用のある食材です。
大根は利尿・解毒作用があり、腎臓にやさしい食べ物です。
このように、腎臓をサポートする食材がたくさん使われているメニューになっています。

腎臓にトラブルを抱えているわんちゃんや、あまり水を飲まない子、尿路結石を繰り返す子におすすめです。
尿路結石などの疾患は腎臓に負担をかけるので、将来的に腎不全になってしまう可能性があります。

また、根野菜と鶏肉によって身体が温められるので、冬場身体が冷えてしまうわんちゃんにもぴったりのメニューです。

代用できるもの

夏場は鶏もも肉の代わりにたらや鮭を使ってもよいです。
たらと鮭は鶏もも肉同様、腎臓に負担の少ない食べ物です。

また、大根をきゅうりに変えてもよいでしょう。
きゅうりは水分が豊富で、腎臓のろ過機能を助けてくれます。

鶏ささみと野菜のそうめん(春・夏用)

※胃腸に負担をかけないレシピです

ごはん(おかゆ)と同様に、うどんやそうめんもわんちゃんのエネルギー源として有効なものです。
お米よりもたんぱく質が多く、消化しやすい食べ物です。
しかし塩分も含まれていますので、食べさせすぎには注意です。
小麦アレルギーのわんちゃんの場合は、避けるようにしましょう。

適量の摂取であれば、食欲のない子でも食べやすいお腹にやさしいごはんになります。

材料
材料/体重 5kg 10kg 20kg
A ゆでたそうめん★1 30g 50g 90g
キャベツ・大根・にんじん 計60g 計100g 計170g
じゃがいも 40g 65g 110g
本葛★2 大さじ1/2 大さじ2/3 大さじ1+1/2
100cc 180cc 300cc
B 鶏ささみ 40g 65g 110g
30g(約1/2個) 50g 90g
鶏レバー 5g 8g 15g
C 天然醸造味噌 小さじ1/6 小さじ1/4 小さじ1/2
EXバージンオリーブ油 小さじ1/5 小さじ2/5 小さじ3/5
天然カルシウム 小さじ1/3 小さじ2/3 小さじ1
Bのゆで汁 大さじ1~2

★1 そうめんは消化をよくするために、そのまま与えることはせずに細かく切ってから与えましょう。
★2 「葛粉」は片栗粉が混ぜてあるものが多いので、「本葛粉」を選んで与えましょう。

作り方

1.じゃがいもを1cm角に切り、キャベツ・大根・にんじんはみじん切りに、ゆでそうめんは2~3cmに切っておく。 Bの肉類も、まとめて1cm角に切る。

2.Aの水でじゃがいもを3~4分ゆで、そこに1で切った野菜を入れて1分間加熱する。

3.2の鍋に、1で用意したそうめんと肉類と卵を加えて1分間煮る。

4.本葛を同量の水(分量外)で溶き、3の鍋に加えてとろみをつける。

5.4を人肌程度に冷ましてから、Cの材料を加えてよく混ぜて完成。

期待できる効果

おなかに負担をかけない、消化吸収のしやすい一皿です。

そうめんは消化によく、食欲不振や消化不良の改善に役立ちます。
小麦などの穀物の消化が苦手な子には、じゃがいもなどのいも類で体力をつけてあげましょう。
胃腸の働きをサポートしつつ、エネルギー源となってくれます。

牛肉などのこってりしたお肉は胃腸に負担をかけてしまいますが、鶏ささみなどの低脂肪たんぱく質は胃腸を温めてくれるすぐれものです。
わんちゃんのおなかの調子がよくないと感じたら、こういったお肉に切り替えてみるのもよいでしょう。

キャベツや大根は、胃腸薬のような働きをする野菜として有名です。
腸内の老廃物を体外に出したり、胃液の分泌を促したりと、腸内環境の改善に効果的です。

また、葛や味噌は消化器の粘膜を保護する働きがあり、整腸効果が期待できます。

胃腸の不具合は下痢や嘔吐などを引き起こし、ワンちゃんの食も細くなってしまいます。
食欲不振は生命力の低下にもつながってしまうため、見過ごしは危険です。
胃腸の調子を整えるには、水分や食物繊維を多く含んだ食べ物が効果的です。

代用できるもの

上記は春・夏場のメニューですが、冬場などはうどんを使用してもよいです。
この場合も、食べやすいように2~3cmに切ってあげましょう。

じゃがいもは、さつまいもでも代用可能です。

たらも低脂肪なたんぱく源ですので、鶏ささみの代わりに使用してもよいでしょう。

おやつのレシピ

栄養的な観点からは必要のないはずのおやつですが、わんちゃんとのコミュニケーションやしつけには欠かせないものですよね。
しかし、市販で売られているおやつは嗜好性がとくに重視されており、安全性や栄養は二の次といった製品が多いです。
そのため添加物が多く含まれていたり、カロリーが高かったりと、常食させるには不安な点も数多くあります。

そこで、飼い主さんがつくるおやつをわんちゃんに与えてみてはどうでしょうか。
材料調達から完成・保存まですべて飼い主さんの手で行えば、安心して食べさせてあげることができますし、その日の体調やアレルギーなどにも対応することができます。
材料をそう多く使用しないシンプルなものであれば、栄養の調整も簡単です。

そんなおやつのレシピを、ひとつ紹介します。

まるごとりんごチップス

材料はりんごのみ。 りんごをスライスして乾燥させただけの、シンプルなおやつです。
りんごは生でも身体によいですが、乾燥させることで手がべたつかず、持ち運びが便利になります。

材料・道具
  • りんご1個
  • 乾燥剤と密閉容器(ワンちゃんが乾燥剤を誤飲しないように注意しましょう)
作り方

1.下準備として、オーブンを100度に温めておく。

2.りんごをよく洗ってから、種を取り除き、1.5mmほどの厚さにスライスする。
(この段階で、真ん中がくりぬかれたドーナツ型になります。)

3.水気をきり、キッチンペーパーでさらに水気を抜く。

4.オーブンのプレートにクッキングシートを敷き、スライスしたりんごを並べる。
(りんご同士がくっつかないように、均等に並べることがポイントです。)

5.温めたオーブンに入れて、1時間焼く。
焼き終わったら、すべてのりんごをひっくり返してさらに1時間焼く。
裏表とも焼き終えたら、りんごが完全に冷めるまでそのままオーブンの中に入れておく。

6.冷めたりんごを密閉容器に移し、乾燥剤とともに保存する。

期待できる効果

犬は味覚が人間に比べて未発達ですが、甘味を感じる力は強いといいます。
ですので甘いりんごを好むわんちゃんも多く、しつけの際などにもぴったりなおやつとなります。

乾燥させることで水分は飛んでしまいますが、その分栄養が凝縮され、腹持ちもよくなります。

しかし糖分が多くカロリーも高いので、過剰にあたえるのはNGです。
しつけが成功した時のごほうびなど、与える場面を限定しておきましょう。

代用できるもの

りんご以外にもさつまいもやかぼちゃ、レンコンなどで代用することができます。